研究課題/領域番号 |
20K02880
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
桐原 礼 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10555311)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小学校音楽科 / 身体表現 / 多文化共生 / スペイン |
研究実績の概要 |
本年度は,研究計画を変更し,当初の計画では3年目に実施する予定であった,我が国の音楽教育における身体表現活動のあり方について検討した。 まず始めに,初等音楽科教育の前段階となる幼児音楽教育における身体表現活動について,我が国における過去10年間の研究論文の内容について検討し,近年の研究動向について整理した。幼児の表現において音楽と動きは密接なものであり,音楽的な概念を形成させたり,身体活動や言語活動を促したり,表現力や他者とのコミュニーション能力を向上させたりするなどの教育的意義を確認することができた。スペインの音楽教育における身体表現活動と比較するための基礎的な情報を得ることができた。この内容を信州大学教育学部研究論集に投稿し,受理された。 また,教員養成課程学生を主な履修者とした授業において,音楽的な身体表現活動の実践的研究を実施した。オンラインによる遠隔アンサンブル活動において,ボディー・パーカッションを中心とした身体表現活動を展開した。この中で,自己表現の幅が広がったり,様々なアイディアを出し合ったり,他者とのコミュニケーションが促進されたりする中で,各々の表現を高めている様子を確認することができた。我が国の状況に即した身体表現活動のあり方を提示していくための基礎的な情報を得ることができた。この内容について,日本学校音楽教育実践学会中部支部例会において口頭発表を行った。現在は,論文として投稿するために原稿を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,本来であれば,スペインに赴き,教員養成系大学の音楽教育学に関わる授業や小学校音楽科授業の参観を通して,身体表現教授法について検討する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,渡航が不可能となったため,計画通りに研究を進めることが出来なかった。このため,今年度は研究計画を変更し,本来であれば3年目に実施する予定であった,我が国における身体表現活動の研究動向および大学の授業実践について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もスペインへの渡航やフィールド・ワークの実施は困難となる可能性が高いため,今年度に引き続き,国内でも可能な研究を実施する。スペインの状況については,オンラインでの聴き取り調査,教員養成系大学の音楽科授業のシラバス内容の検討,初等音楽科の教科書検討などを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,新型コロナウイルス感染症対策として,国内学会はオンラインのみの参加とし,スペインへの渡航も中止したため,旅費が不必要であった。 来年度は,国内外への調査および学会参加などの旅費が必要になるとともに,オンラインでの研究調査環境を整えるための物品経費を予定している。
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