2021 年度実施状況報告書

自己学習力を育成する文字教育モデルの構築―学習者の文字学習方略を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号	20K02883
研究機関	滋賀大学
研究代表者	長岡由記滋賀大学, 教育学部, 准教授 (90615915)
研究期間 (年度)	2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード	国語科教育 / 文字教育
研究実績の概要	本研究は、文字学習の系統性を踏まえた上で、文字の特質や機能に応じた方略と学習者のオリジナルの方略の両側面から文字学習方略について検討を行い、学習者の自己学習力を育成するための文字教育の在り方について検討することを目的としている。令和３年度は、昨年度に引き続いて仮名文字・漢字・ローマ字の習得や学習指導、実践報告に関する文献や自己調整学習に関する文献の収集、検討を中心に行った。研究成果については、主に所属学会において公表した。まず、漢字の学習指導の課題については、第141回全国大学国語教育学会秋季大会の公開講座（「漢字と文法の学習について改めて考える①今、漢字教育について問うべきことを探る」）において発表した。国語科教育におけるローマ字学習の意義と課題に関する検討結果については、論考にまとめて公表した（『国語科教育』第91集に掲載）。また、漢字学習と関連する語彙学習と仮名文字学習に関する論考を大学用教科書に掲載した（『新・教職課程演習第16巻中等国語科教育』『新・教職課程演習第10巻初等国語科教育』協同出版）。本年度は、文字教育の意義と課題を整理することに重点を置いて検討を行った結果、国語科教育における文字教育の役割や他領域・他教科との繋がりが少しずつ具体的に見えてきた。ただし、本年度は意義と課題を整理することに時間を費やすことになり、学習方略や学習指導については十分な検討ができなかったため、次年度は、学習指導の系統性と学習方略について、自己調整学習の視点も取り入れながら検討を進めていく予定である。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 3: やや遅れている理由本年度は、昨年度から継続して行ってきた文献の収集と検討に基づき、研究成果の一部を論考や発表資料にまとめて公表することはできたが、当初の計画より遅れており、学習方略の記述や調査研究等ができていない。
今後の研究の推進方策	実施計画の１・２年目に予定していた文字学習の系統性と文字の特質や機能に応じた文字学習方略の検討と記述を３年次も引き続き行うとともに、学習者のオリジナルの方略についての調査研究も、状況を踏まえながら実施する方向で準備を進める。
次年度使用額が生じた理由	（理由）学会や研究会への参加、文献調査のための旅費と物品費等を計上していたが、研究会や学会のオンライン開催に伴い，旅費が不要になったこと、また文献調査についても図書館間相互貸借等により経費の削減ができたため。（使用計画）繰越金は、文献購入や文献複写費用等の資料収集、調査に必要な物品購入のために使用する予定である。