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2021 年度 実施状況報告書

中国の古典教育における関連教材の研究―日本の漢文教育への応用のために―

研究課題

研究課題/領域番号 20K02886
研究機関岡山大学

研究代表者

土屋 聡  岡山大学, 教育学域, 准教授 (20432891)

研究分担者 栗山 雅央  西南学院大学, 国際文化学部, 助教 (20760458)
長谷川 真史  東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (40706769)
奥野 新太郎  岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (60706761)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード漢文学教育 / 関連教材 / 『語文』 / 古典不要論 / 漢語表現の構造
研究実績の概要

土屋聡「『桃花源記』と『桃花源詩』と―その関係についての一考察―」(『岡山大学大学院教育学研究科研究集録』178号、2021年11月)では、陶淵明「桃花源記」の関連教材として「桃花源詩」を利用する提案について、「詩」がどのような形で「記」に関わっているのかという点を本文に則して検証するものである。「詩」を中心に見ながら、「記」との関連について分析を加えた結果、「詩」は推測や想像を交えて桃花源の日常を描くものであり、「記」はその空想の素材という関係が明らかとなった。
土屋聡「空想する『桃花源記』―『桃花源詩』とともに読むことの意義―」(『岡山大学大学院教育学研究科研究集録』179号、2022年2月)では、前稿の結論を基に、「詩」が「記」の読解にどのように寄与するのかという点を明らかにしようとするものである。「詩」では村の生活の描写が12句を占めるため、従来は学習者の想像によってなされていた「記」の簡潔さを補うことができる。先行事例として中国における「詩」の利用に注目し、「詩」が理想郷のイメージ形成に寄与することを9つの項目にわたって検証した。また、「空想」という共通項によって、他作品との関連性が見出せることをも明らかにした。
長谷川真史「なぜ漢文を学ぶか?─中国古典研究と漢文教育のあり方について」(東京学芸大学・学芸国語国文学会 2021年6月26日、招待講演)では、近年多く見られる「古典は必要か否か」という議論を踏まえ、漢文教育における課題について述べた。漢文は「役に立たない」「日常では使わない」は全くの誤解であり、漢文に対する誤解を解消するためには、漢語表現の構造に対して理解を深めることが有効であると考えられる。以上を踏まえ、漢語表現の構造に対しての理解を深めるため、漢詩を教材として用いること、対句を利用して構造を分析することが有効となるのではないかという展望を述べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度の研究計画の進捗状況について、【1】~【3】に分けて以下のように報告する。
【1】
「語文」教科書の古典教材の調査。前年度に収集した「語文」教科書及び教師用教学書を利用して、古典教材の調査を行なった。『課程標準』の記述との整合性や、小・中・高のカリキュラムや単元・教材の系統性について調査した。
【2】
「語文」教科書における関連教材の研究。研究代表者および研究分担者それぞれの専門領域に係る教科書教材を対象として調査・研究を進めた。土屋聡「『桃花源記』と『桃花源詩』と―その関係についての一考察―」(『岡山大学大学院教育学研究科研究集録』178号、2021年11月)、土屋聡「空想する『桃花源記』―『桃花源詩』とともに読むことの意義―」(『岡山大学大学院教育学研究科研究集録』179号、2022年2月)として研究論文を公刊した。

今後の研究の推進方策

2022年度の活動については、以下の方針で行うこととする
・本研究課題はあくまでも国語の授業のための教材開発・教材研究として遂行する。またその際、言語学習の側面について充分に考慮する。
・日中比較の際には、中国における古典と日本における古典(古文・漢文)という位置づけの差異に注意する。
・現在、世界的に新型コロナウイルスが流行しており、2022年度に予定している中国での文献調査も遂行困難であることが予想される。そこで、調査範囲を中国国外でも入手可能な人民教育出版社版『語文』教科書に限定して、研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

当初、「語文」教科書の古典教材の調査として、国内図書館(国立国会図書館・公益財団法人 東洋文庫)および海外出張(中華人民共和国)出張を予定しており、その旅費を予算に計上していた。しかし、新型コロナの流行及び緊急事態宣言発令等により国内外への出張・調査ができなかったため、その旅費について次年度使用が生じた。
次年度以降の状況も予測困難ではあるが、ワクチン接種の普及等で事態が好転した場合に、出張旅費として使用したい。なお、出張先、出張目的(「語文」教科書の古典教材の調査)についての変更はない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「桃花源記」と「桃花源詩」と―その関係についての一考察―2021

    • 著者名/発表者名
      土屋聡
    • 雑誌名

      岡山大学大学院教育学研究科研究集録

      巻: 178 ページ: 23-30

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 空想する「桃花源記」―「桃花源詩」とともに読むことの意義―2021

    • 著者名/発表者名
      土屋聡
    • 雑誌名

      岡山大学大学院教育学研究科研究集録

      巻: 179 ページ: 65-74

    • オープンアクセス
  • [学会発表] なぜ漢文を学ぶか? ─中国古典研究と漢文教育のあり方について2021

    • 著者名/発表者名
      長谷川真史
    • 学会等名
      学芸国語国文学会(東京学芸大学)
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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