研究課題/領域番号 |
20K02886
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
土屋 聡 岡山大学, 教育学域, 准教授 (20432891)
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研究分担者 |
栗山 雅央 西南学院大学, 国際文化学部, 助教 (20760458) [辞退]
長谷川 真史 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (40706769)
奥野 新太郎 岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (60706761)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 漢文学教育 / 関連教材 / 『語文』 / 言語文化 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の漢文教育に最適化された関連教材(例えば同じ作者の他の作品、異なる作者の類似作品、後世の批評や注釈など)を開発するものである。特に、中国における古典教育との比較という観点を導入し、その先進性や柔軟性を取り入れた点に特色がある。また、言語教育としての漢文学習という観点から、新しい科目である「言語文化」の教科書に対する評価を試みた。 最終年度は、日本の高等学校国語教科書と中国の『語文』教科書(人民教育出版社版)とにおける関連教材の比較を通じてそれぞれの特徴を分析するとともに、日本の特徴として、漢文そのものの理解を深めるための関連教材の僅少さをも指摘した。また、昨年度までの「桃花源記」をめぐる研究を踏まえて実践的調査を行い、関連教材「桃花源詩」を取り入れた場合、作品世界や作者の撰述意図について学習者がより深く考えるようになることを明らかにした。さらに、日本の漢文教育を学習者の言語文化と結びつける言語教育として構築するために何が求められているのか、そしてそれは新しい「言語文化」の教科書においてはどのように実現されているのか、或いはどのような課題を残しているのか、という観点からの研究を行なった。 関連教材自体を対象とする研究は、いわゆる教科書教材の研究に比べると、日中を問わずまだまだ少ない。しかし、新「学習指導要領」(平成30年告示)では、古典の特性として「他の作品」との関係の中で作品を理解する必要性が明示されている。関連教材の研究とはまさにこの点に関わる研究であり、本研究では関連教材が学習者の主体的・対話的な漢文学習にどのように寄与するか、そのメカニズムを明らかにするという成果をあげた。また、漢文が持つ言語教育としての側面に注目し、新科目「言語文化」のあり方についても考察を加えた。これらの成果は、内外の学界に対してタイムリーに知見を提供するものである。
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