研究課題/領域番号 |
20K02888
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
吉村 直道 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90452698)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 構成的な学習 / 教授的な学習 / 理解の定着 / 話し合い / 数学教育 |
研究実績の概要 |
2023(令和5)年度に計画していた本研究に関わる特設授業,小学校4単元(各3クラス),中学校3単元(各4クラス),すべて計画通り実施することができた。加えて,予定していたアンケート調査,小学校1単元(各3クラス),中学校3単元(各4クラス)も計画通り実施した。 今年度の研究発表の実績としては,昨年度に中学1年生にアンケート調査した小学6年「比例のグラフ」の学習の1年後定着の様子を全国数学教育学会(2023年6月)に研究発表し,その内容を研究論文(Ⅰ)とし研究紀要に投稿した。加えて,中学1年「最短経路の作図」と小学5年「速さ」の学習の1年後定着の様子を考察し,研究論文(Ⅱ)としてまとめ発表をした。 ここまでの研究成果としては,授業記憶の自信度・定着については,〇構成的な学習においては単元や学年を問わずほぼ同様であり肯定的な反応が比較的高い。学習内容の理解や簡単な問題解決の実効性については,〇二つのタイプの学習ともに,ほぼ同様の高割合で高成績であった。授業内で問題解決に至った根拠の定着については,〇学習内容に複雑さや捉えにくさがないものについては,構成的な学習の方が肯定的な反応が多く,学習内容に複雑さや捉えにくさがあるものあれば,教授的な学習の方が肯定的な反応が多い,という傾向を導出することができた。 今後は,さらに調査研究の事例の数を増やし,これらの仮説が他の事例でも成り立つと言えるか検証し,一般性のある主張に高めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査協力中学校の都合で2022年度に予定していた特設授業が1つ実施できなかったことがあったが,今年度2023年度は予定していたすべての特設授業,および,アンケート調査すべて実施することができた。学会発表と論文発表にも取り組み,公表・発表の機会を得てご助言・ご批判を受けることができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度2024(令和6)年度においては,小6「分数の除法」に関するアンケート調査として1年後調査(4クラス)・2年後調査(4クラス)・3年後調査(4クラス),小5「部分平均から全体平均の算出」に関する調査を1年後調査(3クラス)・2年後調査(4クラス)・3年後調査(4クラス),小6「比例のグラフ」の1年後調査(4クラス),中1「最短経路の作図」「柱体の体積」の1年後調査(各4クラス),小5「速さ」の1年後調査(3クラス)に実施する予定である。 アンケート調査の最終実施月が予定では2月となっている。2月の調査結果を待ってから,研究の成果をまとめるようでは今年度中に当該研究の発表ができなくなるため,予定を変更しアンケート調査は遅くても12月までには実施し,今年度中に当該の研究について研究発表できるように遂行するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
文字起こしの作業を当初は業者依頼を予定していたが,昨今の生成AIの普及によりアプリによる文字起こしが可能になり,そちらに予算支出を変更するなどしたため,次年度使用額が発生した。次年度は研究発表が主となるため,学会発表に使用させていただく予定である。
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