研究課題/領域番号 |
20K02898
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研究機関 | 南九州大学 |
研究代表者 |
遠藤 晃 南九州大学, 人間発達学部, 教授 (40586525)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ユネスコエコパーク / ESD / ニホンカモシカ / 持続的保全 / 学校教育 / 綾エコパーク / 祖母・傾・大崩エコパーク |
研究実績の概要 |
(1)綾ユネスコエコパークにおける集中講義:ニホンカモシカの保全のために、研究者(ニホンカモシカ、ニホンジカ、植物生態学の各専門家)、綾町役場(森林行政、鳥獣行政、文化財行政、エコパーク推進室の各担当者)、森林組合、猟友会、自然保護団体など関連するステークホルダーを外部講師として招いた集中講義「環境問題演習」を、綾エコパークで実施した。講義はESDの視点で構成され、教員を目指す本学子ども教育学科の学生達が、各ステークホルダーの取り組んでいる内容と課題について総合的に学ぶとともに、カモシカの持続的保全のための小学校の授業プランについて考える機会となった。同時に、行政やNPO、研究者がニホンカモシカの危機的状況と課題について共有する場とすることができた。今年度はCOVID-19対策として、2日間をオンライン授業、現地でのフィールドワークを1日としたが、想定していた効果が得られた。
(2)綾ユネスコエコパークにおけるニホンカモシカの生息実態調査(予備調査):綾エコパークにおけるニホンカモシカの生息実態を把握するための予備調査として自動撮影カメラを設置し、新たに導入した機種のテストが終了し、撮影状況を元に調査地点を決定できた。次年度以降、本格的なカメラ調査を実施するとともに、糞塊法による生息実態調査を実施する予定である。
(3)祖母・傾・大崩エコパークにおける予備調査:ニホンカモシカの死亡要因となる、ニホンジカの食害対策として設置される「防鹿ネット」と「ワイヤー罠」について、カモシカが事故に遭わないためのハード面(材質など)とソフト面(設置方法、管理方法など)の見直しを検討するために、大分県の竹田市、豊後大野市、佐伯市で県のカモシカ調査を担当する通常調査員(狩猟、林業、農業従事者)を対象としたアンケート(予備調査)を実施し、次年度以降のアンケート調査に有効な情報を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施できた内容については順調に成果をあげているが、感染症蔓延のためフィールドワークが制限されたため、綾エコパークにおける自動撮影カメラ調査や祖母・傾・大崩エコパークにおけるアンケート調査への本格的な着手がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)綾ユネスコエコパークにおける集中講義:今年度も引き続き、綾エコパークにおける各ステークホルダーを交えた集中講義を実施し、ニホンカモシカの保全に向けた対策の考案と実践に必要な要素について検討を重ねる。 (2)綾ユネスコエコパークにおけるニホンカモシカの生息実態調査:自動撮影カメラの設置台数を増やして本格的な調査を開始するとともに、糞塊法による生息実態調査を実施する計画である。 (3)祖母・傾・大崩エコパークにおけるアンケート調査:ニホンカモシカの減少要因となる「防鹿ネット」や「ワイヤー罠」等について、大分県の竹田市、豊後大野市、佐伯市の狩猟、林業、農業従事者を対象としたアンケート(本調査)を実施する計画である。 (4)フランスに於ける現地調査については現状では難しいため、今後の感染症の状況を注視しながら調査方法の変更(オンラインなど)や延期などを検討し決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症対策でフィールドワークが制限されたため、旅費が発生しなかったことと、新機種のカメラテストが遅れて購入が次年度となったこと、本格調査の着手が遅れて人件費・謝金が発生しなかったことが原因である。 次年度へ繰り越した予算は、カメラ購入と旅費、人件費に充てる予定である。
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