研究課題/領域番号 |
20K02901
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
西城 潔 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (00241513)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 竹 / 竹林 / 小学校 / 教科横断 |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は以下の通りである。 ①令和2年度の授業実践に関する研究発表 研究代表者が校長を務める(令和3年度まで)宮城教育大学附属小学校において前年度に実施した、竹を利用した授業実践に関する研究発表および図書作成を行った。具体的には、3年生の総合的学習の七夕学習における竹の利用と再利用について、宮城教育大学環境教育研究紀要に授業実践を行った教諭と連名で論文を発表した。また1年生の生活科での七夕学習を題材に創作を加えた物語を研究代表者が作成、1年生の担任教諭にイラスト描画を依頼して自費出版による絵本製作を行った。 ②宮城教育大学附属小学校での授業及び環境活動実践 宮城教育大学附属小学校の令和3年度公開研究会での、トガトン(竹楽器)の演奏と民族音楽の学習をテーマとした音楽科での授業実践に際して竹材を提供し、児童に竹利用の機会を提供した。授業者である担任教諭に対しては、竹利用に関する助言を行った。授業実践後は、音楽の授業における竹楽器の利用の効果について、授業時の児童の反応をもとに協議検討を行った。なお演奏に使用した竹楽器を材料に炭焼きを行い、SDGsを視野に入れた資源再利用に関する学習展開も計画していたものの、年度末のオミクロン株拡大により実施を見送らざるを得なかった。また脱プラスチックストローに関心を持つ同小学校4年生の学級からの要望で、給食用に紙ストロー・竹ストローを提供し、児童の反応について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の目的は、①小学校を対象に竹・竹林を題材とした教科横断型カリキュラムを開発すること、その前提として、②国内数地域における竹林・竹利用の実態把握、③児童への竹観察および利用の機会提供を行うことである。 令和3年度もコロナ禍による出張自粛の影響で、国内数地域における竹林・竹利用の実態把握(②)は行うことができなかった。その意味で進捗状況を(3)としてある。ただし宮城教育大学附属小学校でのいくつかの実践を通して、③については研究成果が着実に進んでいる。とくに音楽の授業における竹楽器の利用やプラスチックストローに変わる竹ストロー利用の活動などは、当初予定になかった新たな展開である。①のカリキュラム開発については、過去2年間の取り組みを通して、生活科・音楽・総合的学習にまたがる横断的カリキュラム作成に向けた準備が整ってきている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで実施できていない国内における竹林・竹利用の実態把握については、今年度の前期(10月)までに集中的に実施したい。候補地としては、長野県飯田市周辺を考えている。この地域では地域の市民団体が竹林整備に関する先進的取組みを行っており、地元小学校と連携した活動も実践しているとのことであり、本研究にとって大いに参考となるはずである。 また引き続き宮城教育大学附属小学校の協力も得ながら、児童への竹利用の機会提供と、その成果にもとづくカリキュラム開発を進めていく。具体的には、竹を使った七夕活動と使用済みの竹の再利用を組み合わせた生活科の活動、4-5年生対象の竹楽器の利用と竹の再利用を組み合わせた音楽-総合学習のカリキュラム開発を中心に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の過程で当初予算と異なる支出計画が生じ、新たな物品購入やその他(出版関係の支出)が生じた一方で、令和2年度に続くコロナ禍で旅費の支出がなく、人件費・謝金を伴う支出もなかったため、差し引きで若干の次年度使用額が生じた。次年度に予定している謝金を伴う分析において執行予定である。
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