研究課題/領域番号 |
20K02908
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中島 卓郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20293491)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音楽科教育 / ドイツ / 海外連携 |
研究実績の概要 |
「生活や社会における音や音楽」に関連したドイツの教育内容の具体を確認するため、ベルリンのギムナジウム教諭M.ヴェルネブルク氏(D-H-Gymnasium)宅を訪問した。「音楽と社会」に関して教科書の分析を中心に進めてきたが、ヴェルネブルク氏が実際に行っている授業および教科書の分析から浮かび上がった疑問点について話を伺った。 1.音楽と政治:対象となる作曲家や政治は、ユダヤ人であるがゆえに「退廃音楽」として激しく迫害を受けたシェーンベルク、メンデルスゾーン等に関して、あるいはポーランド分割に係るワルシャワ蜂起などである。東西に分割されたドイツでは、「国歌」に関しても様々な動きがあり、政治的な思想や背景があることを学ぶ。国際的な動向であった1920~30年代の「労働運動の音楽」「コミュニスト運動の音楽」「抵抗の音楽」「軍隊の音楽」など、これらにはすべて、「プロパガンダの道具として音楽がどのように利用されたか」という問題がテーマとなる。 2.音楽と宣伝:音楽がどのように作られていて宣伝として機能するかについての学習である。購買意欲を掻き立てるために広告代理業(作曲や心理学関係者を含む)が様々な工夫をしている。デパートでよい気分にさせる音楽を流したり、テレビ・コマーシャルの音楽だけで(歌詞はなくとも)人々に商品として思い出させることに成功している。生活上で活用・利用されている音楽の機能について学ぶのである。 3.音楽と映画:例えば、A.ヒッチコックの映画等を用いて、①ある特定のシーンの音楽だけを聴く、②音楽と映像を同時に視聴する、③音楽なしで映像だけを観る。それぞれにおいて、音楽の効果・使用のされ方等が授業のテーマとなる。授業における討議の重要なポイントは、「何故そのように感じるのかについて、音楽の形式的側面とかかわらせて理解を深めていくこと」である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染防止の観点から、研究初年度から授業参観等に支障が出たため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの分析結果をもとに、必要に応じて現地協力者に確認するなどして研究成果報告書をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遅延に伴い出張費や必要消耗品等に係る残額が発生した。次年度は、これらを有効に使用し研究報告を行う。
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