研究課題/領域番号 |
20K02913
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
真野 祐輔 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (10585433)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 数学教育学 / 理論のネットワーク化 / 研究方法論 |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は,数学教育学における「理論のネットワーク化」という研究者の実践を研究方法論として確立すること,及びその方法論を支えるメタ研究枠組みを構築することである。2020年度の研究計画では,国際学会(第14回数学教育世界会議)の「理論」分科会に参加して研究発表を行うとともに,理論のネットワーク化研究の専門家と研究協議を行うことを予定していた。しかし,COVID-19の影響によりこの国際会議が2021年7月に延期となり計画通りに進めることができなかった。そのため,2020年度は実証的研究における理論のネットワーク化の方法論の検討を進めた。文献研究により,数学教育学の理論を複数用いて,算数・数学の学習過程や教師教育(授業研究)の実証研究に対するネットワーク化のストラテジーを検討した。文献研究の成果としては,数学教育学の理論が多様化する中で,それぞれの研究領域の中で用いられる理論には,理論のスケールに応じていくつかの水準があることが議論されていることを踏まえ,異なるスケールをもつ理論をネットワーク化することの可能性を示唆した。また,そうした取り組みでは,複数の理論を組み合わせたり,異なる理論の専門用語を調整したりすることにより,複雑な教育現象やローカルな文脈に埋め込まれた教育的営みをよりよく理解することができるストラテジーであることが確認された。一方,本研究では,様々な研究のタイプに応じた理論のネットワーク化の特徴を検討することを視野に入れているが,2020年度の研究活動ではこの点については十分に進めることができなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参加・発表を予定してた国際会議が延期されたため,当初の研究計画通りに研究活動が遂行できてないため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に開催予定であった国際会議が2021年度にハイブリッド形式で開催されることとなった。この国際会議で研究成果の一部を発表するとともに,海外研究者とともに本研究課題に関する研究協議を行う予定である。また,実証的研究以外のタイプの研究における理論のネットワーク化を検討することも今後の推進方策の一つである。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により予定していた旅費および謝金(学生アルバイト)の支出がなかったことが理由である。また国際会議の延期に伴い参加費等の支出も次年度となった。
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