研究課題/領域番号 |
20K02913
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
真野 祐輔 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (10585433)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 数学教育学 / 理論のネットワーク化 / 研究方法論 |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は,数学教育学における「理論のネットワーク化」という研究者の実践を研究方法論として確立すること,及びその方法論を支えるメタ研究枠組みを構築することである.2021年度は,オンラインで開催された国際学会(第14回数学教育世界会議)の「理論」分科会に参加して研究発表を行い,理論のネットワーク化研究の専門家と研究協議を行うことができた.2020年度に進めた文献研究の成果に基づいて,数学教育学の理論を複数用いて,教師教育(授業研究)の事例研究に対するネットワーク化のストラテジーを検討し,国際ジャーナル論文を発表した.また,2021年度に行った理論的研究の成果としては,国際学会(第14回数学教育世界会議)での発表を発展させ,理論のネットワーク化を行う研究者の活動を記述するためのメタ研究枠組みを検討した.その際,様々な研究のタイプに応じた理論のネットワーク化の特徴を検討することができた.そうした検討の中で,数学教育学における理論の多くが西洋諸国(特にヨーロッパ)を中心として発展してきているが,そうした諸理論を東アジア(特に日本)のローカルな文脈の中で用いるときの文化的要因についても様々なレベルで考慮する必要があることが示唆された.実際,理論のネットワーク化は,数学教育学における理論が多様化する中で,特に大陸ヨーロッパの研究文脈で議論されてきたテーマであり,そうした議論が日本などの東アジアの研究文脈の中でどのように受け入れられるかについてはこれまでに国際的にはあまり議論されてきていないのである.このように今後は,理論の多様性に対して文化的要因がどのように関わっているかについても視野に入れて研究を進めていく必要性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果発信の面でやや遅れていたが,2021年度には延期となっていた国際会議がオンラインで開催され研究成果の発表ができたこと,また,理論的な研究成果を国際ジャーナル論文で発表できたことが「おおむね順調に進展している」ことの理由である.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究活動の中で意識された理論のネットワーク化に及ぼす文化的要因についても考慮に入れて研究を進めていく.特に西洋由来の理論のネットワーク化を行うとき日本(あるいは東アジア)の実践や研究の文脈がいかなる影響を及ぼすかを考察し,国内外の研究者との議論を深めたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により予定していた国際会議参加のための旅費および謝金(学生アルバイト)の支出がなかったことが理由である.2022年度は社会情勢を注視しながら国内外の出張を計画中である.
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