最終年度は、これまでの理論的、歴史的メディア教育の研究、総合的な学習の時間の授業開発を踏まえ、具体的な教育実践を実施し、その検証を行った。対面での視察はコロナウィルスの感染拡大に伴う、学級閉鎖のため実現できなかったが、授業を録画してもらい、十分な検討ができた。また成果としても4本の論考にすることができた。 研究分担者とはバッキンガム『メディア教育宣言』の翻訳を共同で進めるとともに、 適宜授業開発に教科教育の立場からコメントをもらうことができた。また授業を構想・計画した研究協力者とは電話、オンラインで連絡を取り合うとともに、文書と資料をやり取りしながら、授業を開発、実践、検討を行った。さらに、この授業についてはイギリスのメディア教育学者バッキンガムからコメントとアドバイスを適宜もらい、そこでの議論を踏まえて、授業開発を進めることができた。 研究期間全体を通じては、パンデミックの影響で、当初の計画とは異なり、小学校に出向いて児童の様子を見ながら、授業を改善していくことはできなかった。しかしながら、逆にオンラインの条件が整い、対面を基本とした授業開発よりも、議論する、観察する回数は増やすことができた。また、イギリス在住のバッキンガムからのアドバイスや議論も、同様の影響で、計画以上の機会を設けることができた。SNSという新たなメディアの登場に伴い、メディア教育それ自体が再定義を必要とする中で、概念の整理、日本における教育課程での位置づけ、具体的な教育実践を開発できた点は成果と言えよう。
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