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2021 年度 実施状況報告書

子どもの市民的資質を育てる修復的な学校をつくるための指導方法論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02929
研究機関活水女子大学

研究代表者

田渕 久美子  活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (70259703)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード修復的正義 / 修復的サークル対話 / こどもの哲学対話 / サークル
研究実績の概要

今年度は、修復的サークルの理論的研究と小学校における実践研究を並行して進めた。理論的研究については、その成果を論文としてまとめた(田渕久美子「修復的サークルの実践構造とシチズンシップ教育―対話の形式に着目して―」活水論文集第65集、pp.145-160、2022年3月)。内容は、学校における修復的実践の普及に取り組んでいるInternational Institute for Restorative Justiceおよびサークルに関しての著作があるPranisらの研究をもとに、修復的サークルの実践構造を明らかにした。そのうえで、マシュー・リップマンらを発祥とする「こどもの哲学対話」(P4C)との実践構造の共通項を明らかにし、このように構造化された対話の形式が、真実を探究するコミュニティの形成に意義があることを示した。また、これらの対話はシチズンシップの醸成に貢献するものであると考えられている。修復的サークルにおいて対立における対話が建設的になされることによって、積極的な平和構築のために貢献することができると指摘するBickmoreによれば、こうした共同体における対話がシチズンシップ教育としての役割を果たすことができると考えている。サークルの役割は親密圏における対話を公共圏へ開いていく役割を果たし、民主主義の構築に寄与することを示した。
実践研究では、小学校の3~5学年でサークル対話の実践を行ってもらった。途中新型コロナウイルス感染症の拡大によって、十分な回数を取ってもらうことはできなかった。担任教師のサークルの意義の理解度の差のため、結果にはばらつきが生じたが、もっともよく、サークルの実践上のルールを理解して実践した学級においては、子どもたちの対話が促進されただけでなく、学校での場面緘黙の子どももサークルに参加できるなど、サークルの意義を示す重要な変化があった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学校における実践研究や理論的研究については、比較的順調に進めることができているものの、オーストラリアでの調査の予定が立たなくなってしまった。
当初の計画では、オーストラリアのクイーンズランド州におけるYaining Circleの実践について、インタビュー調査を考えていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、また、当初考えていた教師へのインタビューができなくなっており、具体的な計画が立てられていない。現在、教育省その他に問い合わせ中であるが、進展していない。

今後の研究の推進方策

引き続き、理論的研究および日本の学校での実践研究は進める予定である。来年度も小学校について、協力可能との返事をもらっている。一方、オーストラリアでのインタビュー調査ができるように努力するとともに、難しい場合の対応も考えていかなければならないと考えている。現在、問い合わせを出しているので、その結果を受けて、さらに考えたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、出張がなくなり、旅費がかからなかった。また図書の購入が若干少なかった。今後は、図書の購入やオーストラリアへの調査の実現で使用していくようにしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 修復的サークルの実践構造とシチズンシップ教育ー対話の形式に着目してー2022

    • 著者名/発表者名
      田渕久美子
    • 雑誌名

      活水論文集

      巻: 65 ページ: 145-160

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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