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2022 年度 実施状況報告書

子どもの市民的資質を育てる修復的な学校をつくるための指導方法論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02929
研究機関活水女子大学

研究代表者

田渕 久美子  活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (70259703)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード修復的正義 / 修復的サークル対話 / こどもの哲学対話 / サークル
研究実績の概要

日本臨床教育学会第12回大会(東大阪大学)において、「学級づくりにおける修復的サークル実践の意義ー子どもと教師の語りを通してー」というタイトルで口頭発表を行った。内容は、これまで小学校において修復的サークルの実践を試みてもらった結果をまとめたものである。成果としては、以下の通りである。修復的サークルの実践は、学級をコミュニティとして育てていくために必要な体験をもたらした。①自分の考えを他のメンバーの前で話すこと、他者の考えを聞き取ること、②そのコミュニケーションに伴う肯定的な感情体験(聞いてもらえてうれしかった、気持ちが良かったなど)をすることができた。③Q-Uテストの結果でも、学級生活満足群の児童が増えた。サークルでの対話の経験は、子どもたちにとって、「またやりたい」という思いを喚起するものであった。4年生の実践では、場面緘黙の児童が、学年の終わりにみんなの前で話すことができたという経験があった。また1年生の実践では、机の上の落書きという事態にだれが書いたのかを突き止めることはできなかったが、サークルでひとりひとりの思いを出し合うという対話を行い、それ以降、落書きが止むという経験があった。
一方、日本の学校で実践する上での困難も見えてきた。それは、実際にサークルでの対話が学級づくりに有効であるという実感を教師が持っているにもかかわらず、実践を行う時間がとても取りにくいことである。また、学級の人数も多いため、朝や帰りに気軽に対話の時間を持つことができない。しかし、こうした課題がありつつも、なお学級コミュニティを育てていくためには有効であり、何より教師がそのような手ごたえを感じているということが重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

小学校におけるサークル対話の実践をしてもらい、それについてQーUテスト、児童の振り返り、教師へのインタビューから考察を進めることは、小学校の積極的な協力があり、順調に進んでいる。一方で、コロナ禍を経て難しくなったオーストラリアの学校での調査については目途が立たなくなってしまった。現在、新たな調査の候補を確定できるように情報収集等を進めている。

今後の研究の推進方策

小学校でのサークル対話の実践については、予定では昨年度で一区切りと考えていたが、研究に協力してくださっている教諭からの要請もあり、今年はコロナも終息しつつあり、私も教室に入れてもらうことができそうなため、今年度も継続の予定である。一方、現在、海外での調査について心当たりを探っているところである。オーストラリアでの調査は難しくなっているが、台湾、イギリス、ノルウェーでのつてを得ることができたので、実際に調査に行くことができるかどうかを今後交渉し、候補地を絞って検討していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

本来の計画であれば、前年度に海外での調査のための出張を行う計画であり、所要費用を考えていた。しかし、実現することができなかったために、次年度使用額が生じている。今年度および来年度に海外出張を進めることができるようにする予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] いじめの解決と防止につながる修復的実践2023

    • 著者名/発表者名
      田渕久美子
    • 学会等名
      国立台北大学オリーブブランチセンター主催いじめ防止国際セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 学級づくりにおける修復的サークル実践の意義ー子どもと教師の語りを通してー2022

    • 著者名/発表者名
      田渕久美子
    • 学会等名
      日本臨床教育学会

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公開日: 2023-12-25  

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