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2023 年度 実施状況報告書

子どもの市民的資質を育てる修復的な学校をつくるための指導方法論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K02929
研究機関活水女子大学

研究代表者

田渕 久美子  活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (70259703)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード修復的正義 / 修復的実践 / 修復的サークル / 対話
研究実績の概要

2023年度は、小学校でのサークル実践についての研究を継続したほか、大学生を対象としたサークル実践を行い、その結果を大学の紀要である活水論文集に発表した。この論文では、対話を進めるにあたり参加者が自分の思いを表現する際に重要な条件である「安全感」に着目し、サークルの形で対話を行うことが初めての経験であっても安心感や安全感を得られることを検証することができた。サークル対話の経験を参加者が、「楽しい」「温かい気もち」などの肯定的な感情を伴う経験として認識しており、サークル対話の前は「憂鬱」と感じていた参加者も対話への参加を通して感情が肯定的なものへと変化していた。これはサークル対話に、話す権利が保障されていること、トーキング・ピースを用いることで他者の発話を傾聴するというルールや顔が見える円という互いに対等な関係を象徴する座席等、対話のルールがあることによると考える。このようなルールをもとに対話を積み重ねていくことで、参加者相互の信頼感が高まれば、対話の内容もネガティブな感情を表出し受容することも可能になるであろうことが示唆された。
台湾の国立台北大学と教育省の共催によって行われた国際いじめ防止シンポジウムに出席し、いじめ防止に修復的実践が貢献することや日本でのいじめの実態について報告した。またその際に、学校での修復的実践に関する韓国や台湾の状況を知ることができた。
また、修復的対話実践に取り組んでいるNPOの主催者と連携し、学校で修復的対話を実践する会をつくり、運営にかかわっている。その際、全国各地での対話の実践について情報交換をすることができるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画にしていた海外でのサークル実践についての調査ができていない。また校務が多忙で研究のための時間が思うように取れない。

今後の研究の推進方策

今年度は、韓国での聞き取り調査を予定している。Korea Association for Restorative Jestice のChair personであるLee Jae Young氏が取り組んでおられる修復的実践を普及する取り組みと、実際に実践をされている小学校の先生に、サークル対話の取り組みについて聞き取り調査を行う。国や文化が違っても、指導方法としての価値を認められている修復的サークルの取り組みについて、子どもを市民として育てることへの価値を見いだすことができると考える。また、これまでの情報収集で、オーストラリアや台湾の実践の状況を多少把握することができたが、台湾と比較して、韓国の状況は、国が政策として修復的実践や少年司法における修復的司法を取り入れていないため、日本の状況に近い部分があり、自発的に実践をする教師の意識を探るうえでも調査をする意義があると考える。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた海外での調査に行くことができなかったため、次年度使用額が生じている。今年度は、韓国での聞き取り調査を予定しており、旅費、謝礼等に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 修復的サークルにおける「安全感」の形成ーサークル実践時の認識と感情に着目してー2024

    • 著者名/発表者名
      田渕久美子
    • 雑誌名

      活水論文集

      巻: 67 ページ: 145-158

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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