研究課題/領域番号 |
20K02936
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山川 詩保子 新潟大学, 国際連携推進本部, 准教授 (90835323)
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研究分担者 |
土田 正則 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60293221)
らずびな おりが 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (60835312)
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70314317)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロシア / 高等教育の国際化 / グローバル人材育成 / 医学教育 / 国際共同学位 |
研究実績の概要 |
初年度であるR2年度は、年度初めから新型コロナ感染拡大の影響を受け、本研究の柱である人材育成プログラムはすべて中止となった。そのため、今年度は新たに次の通りオンライン教育プログラムをロシアの大学と実施し、コロナ禍でも学生に国際交流の機会を提供することができた。 1)本学のパートナーのセチェノフ記念モスクワ第一医科大学が主催するオンライン医学英語講座「医学生のための英語コミュニケーションクラス」に学生を派遣した。国際ジャーナルへの論文やアブストラクトの書き方や学会でのプレゼンテーションの仕方を学んだほか、模擬カンファレンスで症例発表も体験し、対面ではあまり時間を割くことが出来なかった医学英語を強化する取組となった。 2)セチェノフ記念モスクワ第一医科大学と「国際学生フォーラム」を2度開催し、日露の学生が、「大学・研究施設紹介」、「コロナ禍における学生生活の変化」、「部活動やアルバイトについて」など様々なテーマで議論した。 3)12月に、クラスノヤルスク医科大と合同で、日露の各分野の第一線で活躍する医師らを招き、3日間で計6回、日露の医学生向けオンライン講義 ”Japan Russia Online Lectures on Medical Sciences and Healthcare” を実施した。のべ1600名の学生や医療関係者が参加した。 これら3つのプログラムは、それぞれ、医学英語の強化、国際的な問題への興味喚起と理解の涵養、国際レベルの医学講義の提供など、多彩な角度からグローバル意識を喚起するものとなった。これらオンラインでの教育の実践で得られた教育効果と実績について、オンライン会議「コロナ禍における日露国際教育交流の実践」にて報告した。このほか、これまでのダブルディグリープログラムの取組における成果と問題点を集約し、1月の第3回「日露産官学連携実務者会議」にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本課題は、新潟大学医学部がロシアの医科大学と実践する国際交流プログラムに、新たに「臨床医学実習プログラム」を開始し、多層的なグローバル医学・医療人材育成のフレームワークを創出するものである。コロナ禍による渡航型対面実習中止が不可能となり、本来の研究は実施できていない状況にある。 しかしながら、世界中が厳しい状況に置かれている、このような時代にこそ、国際舞台で活躍できる医療従事者の育成は最優先事項と考え、オンライン教育プログラムを企画し、実施した。通常のカリキュラムをこなすことにも、予想以上の時間や苦労が強いられる状況でありながら、また、パートナーであるロシアの大学も長期間遠隔教育やテレワークを行っている中にあっても、学生に3つの多様な形態のプログラムを提供できた意義は大きい。COVID-19という世界の共通テーマでもあるが、国ごとに異なる状況や対応を学ぶ貴重な機会となった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も前半は海外派遣や留学生の受け入れは不可能であると予測される。そのため、R2年の経験をもとに、オンラインプログラムをさらに充実させる。 年度後半に、今後海外渡航が可能となった場合は、対面での交流を再開する。「医学臨床実習」をロシアの大学と実施し、グローバル医療人育成プログラムを完成させる。 また、対面での交流が再開されたとしても、オンライン教育の利点を生かし、対面型とうまく組み合わせることで、一層の教育効果を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた国内出張及びロシアへの調査渡航費用が、中止となったことにより使用しなかったため。また、プログラム実施前後に予定していたアンケート処理・集計等に関わる謝礼・会議費等も使用しなかった。 R3年は、プログラムが実施でき、国内外の出張が再開される状況になれば、その費用に充てる。
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