研究課題/領域番号 |
20K02938
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丸山 和昭 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20582886)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 専門職養成 / 研究する実践家 / ライフキャリア / 質保証制度 / 職種間比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、従来、高等教育研究の対象とされてこなかった「研究する実践家」のライフキャリアと、その実践・研究能力を保証するための制度上の課題について明らかにすることを目的とする。「研究する実践家」は、実践界と学術界の間における人の循環、知識の循環の過程において、蝶番としての役割をもつ。特に本研究では、医師、教師、心理職の比較から、職種をこえた共通課題の抽出を目指す。最終的には、公開研究会等の企画を通じ、より広範な専門職種も含めた「研究する実践家」についての、新たな研究領域の開拓を志すものである。本研究の核心をなす「問い」は、「問A:「研究する実践家」は、なぜ、どういった経緯で、実践の場において研究に取り組んでいるのか(ライフキャリアの問題)」、「問B:国内外の関係機関は、実践家の研究能力の質保証に、どのように取り組んでいるのか(質保証制度の問題)」、「問C:医師、教師、心理職において、「研究する実践家」が共通に抱える課題は何か(職種間比較の問題)」の3つである。以上の問いに対し、本研究では、A.「研究する実践家」のライフキャリアの実態調査、B.「研究する実践家」の質保証制度の日米比較、C.職種間比較による共通課題の抽出と議論の場の設定、の3つのアプローチから取組んでいく。 令和2年度は、『学会名鑑』に登録されている、心理学・教育学、基礎医学、臨床医学の分野に属する学術団体のうち、各団体の学術誌において発表を行った者のなかから、大学や研究機関に属していない者を抽出し、「研究する実践家」データベースの作成を進めた。また、「研究する実践家」のキャリアのひとつとして、実務家教員のあり方について、先行研究の整理に基づく報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、新型コロナウィルスの感染拡大をうえ、海外訪問調査や対面でのインタビュー調査が困難であったが、当初の予定にあったデータベース作成と、先行研究の整理を中心に、おおむね順調に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、前年度に作成したデータベースに基づいて、「研究する実践家」を対象にした質問紙調査と、聞き取り調査を企画する。聞き取り調査については、新型コロナウィルスの感染状況を踏まえ、オンラインでの調査を中心に企画する。また、「研究する実践家」の質保証制度の歴史・現状・課題について国内外の文献資料の収集を進める他、分析枠組みとして、Linked Ecologiesの枠組みを用いた専門職研究の動向の整理を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、海外訪問調査や対面でのインタビュー調査に必要な旅費の使用が発生しなかった。令和3年度は、「研究する実践家」を対象にした質問紙調査と、聞き取り調査を企画する。聞き取り調査については、新型コロナウィルスの感染状況を踏まえ、オンラインでの調査を中心に企画する。また、「研究する実践家」の質保証制度の歴史・現状・課題について国内外の文献資料の収集を進める他、分析枠組みとして、Linked Ecologiesの枠組みを用いた専門職研究の動向の整理を行う。そのため、調査費用、文字起こし費用、文献収集のための費用に、該当予算を使用する予定である。
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