研究課題/領域番号 |
20K02941
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
菊池 明日香 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(特定教員) (10867964)
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研究分担者 |
熊木 天児 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (30594147)
川本 龍一 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (50542908)
二宮 大輔 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80773853)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医学生 / 動機付け / 大学入学試験 |
研究実績の概要 |
医学生における地域志向性、総合診療への興味を抱く背景因子の研究を実施するにあたり、まずベースラインでの入学時の動機付けの確認が必須であると考えた。その考えに基づき、入学時に医師になりたいという強い気持ちがあったことを内的動機付けがあると定義、気持ちは無かったが医学部に進学した医学生を外的動機付けがあると定義し、動機付け別に医学生の大学入学時の進路選択における背景因子、影響因子、素因に関するアンケート調査を実施した。対象は地方国立大学医学部に在籍する医学生全員とし、医学実習、講義終了後に質問し調査を実施した。実習、講義に参加できなかった学生については質問紙票と同一内容のアンケートをオンラインで実施した。調査期間は2019年4月~2021年3月とした。解析は統計解析ソフトを用いてt検定、ロジスティック回帰分析を行った。調査の結果、医学生の大学入学時の動機付けは、外的なものよりも内的なものが多いことが明らかとなった。それぞれの群に分けて背景因子、特性などを比較検討したところ、内的動機付けで入学した医学生は親類に医師がいる割合が外的動機付けで入学した医学生よりも多いという結果が得られた。出身高校や推薦の有無、奨学金の有無といった因子については両群で有意差を認めなかった。次に進路決定時に影響を及ぼした人物あるいは環境因子については、内的動機付けで入学した医学生では親や同級生の影響を受けた割合が有意に少なかった。最後に性格素因を比較したところ、内的動機付けで入学した医学生は思いやりがあると回答した割合が有意に多く、優柔不断であると回答した割合が有意に少なかった。これらの結果より、内的動機付けにて医学部に進学した医学生像としては親戚に医師がいるが、親の影響は受けづらく、また決断力があるという学生像が考えられた。過去の知見と今回の結果を考察し報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は医学生における総合診療あるいは地域医療への志向性を評価することを目的としている。志向性の検討を実施するにあたり、まずベースラインである医学部入学時の動機付けの状態、つまり医学部を受験する上でどのような動機づけであったか、その影響因子は何であったかを解析することは、入学後の変化を見る上で非常に重要である。入学後の医学生の変化を動機付け別にフォローアップしていき、ベースラインごとに動機付けの変化に差が生じていくか、また総合診療あるいは地域志向性にどのような差が生じていくかを解明することは、入学後の動機付け別の医学生への介入のヒントにつながる。これらの理由より、初年度の研究調査は非常に重要であり、それが達成できていることから進捗状況は順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究にて得られた医学生の大学入学時の動機付けの状態に基づき、次年度以降はその動機付けがどのような因子でどう変化していくかを追跡調査していきたい。内的動機付け、外的動機付け群において動機付けのレベルが上昇、下降するか、動機付けに影響を与える因子に差があるかどうかも併せて検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19蔓延に際し、医学教育のセミナーならびに外部講師の招聘が実現せず、次年度使用額が生じた。感染症流行蔓延が落ち着いた頃を見計らい、実現できなかったセミナーの開催を計画したい。
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