研究課題/領域番号 |
20K02951
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
五十畑 浩平 名城大学, 経営学部, 教授 (10610579)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フランス / 職業教育 / 高等教育 / 大学 / グランゼコール / アルテルナンス / デュアルシステム / 交互制職業教育 |
研究実績の概要 |
フランスでは,長い職業教育の歴史のなかで,教育機関での理論的教育と企業での職場実践を組み合わせた「フランス型デュアルシステム」(formation en alternance:アルテルナンス教育)が発達してきた.同制度は,もともと中等教育レベルの若年者を育成するものとして発展してきたが,1987年の制度改定を契機に,高等教育の学生がこの制度を活用する動きが活発化し,現在では高等教育の学生が多く利用している.しかしながら,こうした現状にもかかわらず,高等教育における同制度の実態究明はこれまでなされてこなかった. 今年度も前年度同様,コロナの影響により,研究活動が大幅に制限されたため,成果は限定的ではあるが,高等教育におけるアルテルナンス教育の直近の動向が詳らかとなった. 同教育制度のメインである見習(みならい)契約制度(Contrat d’apprentissage)は,これまで中等教育レベルの契約者が多数を占めていたが,2020年には高等教育レベルの契約者が過半数を占めるにまでなり,近年,高等教育でのアルテルナンス教育の発展が著しいことが明らかとなった. また,こうした新たな潮流の一因として考えられる2018年の法改正について詳らかにしたところ, ①全体にとって利用しやすいよう工夫がなされ,②個別の事情に応じて,柔軟な契約の実施ができるよう意図されおり,③国外での実施をより行いやすいよう配慮され,④見習生に対する経済面での待遇が改善され、⑤受け入れ側の企業に対する助成制度を改革していることが明らかとなった。以上のことより,法改正が,とりわけ,若年者の事情に配慮し,従前の見習契約における制度上の硬直性を緩和していることがうかがえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため,フランスでの現地調査ができなかったものの,インターネット等も駆使し,現地の情報を最大限集めるなどして補完したため.
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今後の研究の推進方策 |
コロナによりまだ世界情勢は流動的であるが,現地調査の計画を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため現地での現地調査ができなかったため.令和4年度は現地調査を実施する.万が一その見込みが立たない場合は,文献調査など別の調査方法を検討する.
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