研究課題/領域番号 |
20K02962
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡田 聡志 千葉大学, アカデミック・リンク・センター, 准教授 (00581779)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Institutional Research / IRB / 研究と実践 / 実践研究 / 実践報告 / 包括同意 / 個別同意 / 守秘義務 |
研究実績の概要 |
本研究は、高等教育研究とIR(Institutional Research)の観点から、特にデータ取得に係るプロセスに着目し、教育研究のための情報利用・倫理審査・同意取得という3つの具体的な場面から、高等教育研究とIRの成果が十全に発信されるための仕組みとして求められる指針を検討し、構築することである。 1年目である2020年度は、アメリカとイギリスを中心として文献資料から、海外の教育研究における情報利用・倫理審査・同意取得の現状と議論を確認するとともに、医療系及び経済学系のそれらの取り扱いについて、専門分野間の比較の観点から、情報の整理を実施した。 前者については、Web of ScienceのJournal Citation Reportsにおける「Education & Educational Research-SSCI」カテゴリや「Educaiton, Scientific disciplines--SCIE」カテゴリを基盤として、Impact FactorやTotal Citesの情報を考慮しつつ、高等教育に関連するジャーナルから学会のリストを作成し、その学会等で公表・発信されている情報を利用し、整理を進めた。 特にIRの観点からは「業務」と「研究」の区別や、「研究」と「実践研究」あるいは「実践報告」との線引き問題が議論となるため、単に教育研究という範囲だけでなく、それらがどのように位置づけられているかについても情報収集の範囲を拡大させて、守秘義務と情報公開の関係性、迅速審査等を含む倫理審査のプロセス、個別同意・包括同意・オプトアウト等の同意の種類、データ提供・加工の主体とそのプロセス等の観点から、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、当初予定していた、海外の教育研究における情報利用・倫理審査・同意取得に関わる文献資料の収集、議論や基準の精査、及び他の専門分野の動向について検討を進めることができた。一方で、コロナ禍の影響もあり、高等教育研究者自身のデータ取得に関する認識等については、激変する社会環境下における調査対象者の状況を踏まえ、アプローチの方法や調査の実施時期等の見直しと再検討を進めており、この点で研究全体としては若干の遅れが認められる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き文献資料調査を進める。一方で、当初予定していた国際学会の場等を活用した海外の現地調査や海外の教育研究者の意識等へのアプローチは、コロナ禍の状況により、海外渡航が認められない状況や学会大会・研究会等の中止なども想定されるため、オンライン上の機会を活用する等の別の手段での実施を検討する。また、国内の研究者へのインタビュー調査については、オンラインの同時双方向型のツールを利用し、実施する予定であるが、海外の調査が状況によりできない場合には、国内の調査を拡大する方向で対応することとし、調査対象を教育実践者等に広げることにより、より国内の問題に焦点化する形で研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍の影響もあり、国内の訪問調査やインタビュー調査を見送ったため、それに関連する予算の執行を一部に留めたため、配分額と執行額に差額が生じた。 2021年度も、状況によっては国内訪問調査は難しいと考えられるが、その代わりにオンラインを利用したインタビュー調査の対象を教育研究者だけでなく教育実践者にも拡大することを予定しており、繰越分についてもこの枠組みでの使用を計画している。
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