本研究全体を通じて得られた主な知見として以下の3点が挙げられる。 第1に、リスクの最小化や弱者性(vulnerability)の観点から、所属学生に関わるデータを利用するIRや高等教育研究においても、プロトコルの策定と確認の重要性が明らかとなった。第2に、これらの手続きに関して、IRや高等教育研究を担う本部所属・センター所属の教職員が直面する周辺性と教教分離による混乱、そして機関の不備が明らかとなった。第3に、負担の重さや専門性の高さ、それに伴う人材確保の困難さといった観点から、倫理審査を効率化させる統合的・協働的な枠組みの必要性が指摘された。
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