研究課題/領域番号 |
20K02964
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研究機関 | 文部科学省科学技術・学術政策研究所 |
研究代表者 |
川村 真理 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第1調査研究グループ, 上席研究官 (50867687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 博士人材養成 / 経済支援 / 高等教育政策 / Covid-19 / 科学技術政策 |
研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に引き続きコロナ禍がアメリカ社会と高等教育に与えたインパクトについて、主に政府による学生への支援施策や大学の取組に焦点を置いて研究を実施した。 2022年6月には日本高等教育学会において、コロナの長期化により社会状況が悪化し、州立大学の財政や学生支援状況にも影響を与えている点について分析し、「コロナ禍におけるアメリカ高等教育のトレンド変化」というタイトルで発表を行った。 また、6月には比較教育学会大会において、博士人材に焦点をあてた調査データから日米の博士人材の置かれているマクロトレンドを比較し、「日米の博士人材追跡調査に関する比較的考察」と題して発表を行った。 7月にはIDE現代の高等教育642号に最新の博士人材追跡調査の結果からみた日本の博士人材養成の問題点について「博士人材追跡調査からみる日本の博士人材養成」と題した論考を寄稿した。また、11月にはアメリカ教育学会第34回大会公開シンポジウム「アメリカの大学が抱える諸問題:大学の財政基盤と市場からの影響」においてパネリストとして登壇し、コロナ禍がアメリカの大学財政にもたらした影響と機関の取組の変化などについて「コロナ禍がもたらしたアメリカ高等教育のトレンド変化」というタイトルで発表を行った。2023年1月には、東北大学入試研究シリーズ(金子書房)第7巻「コロナ禍に揺れる大学入試(2)」第5章に「コロナ禍で揺れるアメリカの大学入学者選抜」を寄稿し出版された。また2月にはIDE現代の高等教育648号に「人文社会系修士課程の国際比較」と題した論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究の成果について、学会発表だけでなく、学会の公開シンポジウムや学会誌への寄稿、書籍執筆等、当初予定を上回る範囲で成果発表の機会を賜り、改めて本テーマに対する関心が関係者以外にも高まってきていることを再認識させられた。コロナ禍のため予定していた海外への渡航は延期されているものの、オンラインインタビュー等を用 いて、現地の高等教育関係者からの現場の様子や今後の展望等について情報を得ながら、現在の高等教育情勢について正確な把握ができるよう努めつつ調査研究を実施している。 また、2022年度も、東京大学、広島大学、埼玉大学等内外の研究者とともにCovid-19の米国高等教育への影響について共同研究を行う機会にも恵まれ、コロナ禍、ポストパンデミックにおけるアメリカの大学戦略と経済支援の関係等、時宜を得た研究テーマでの調査も併せて実施できたことで講演等の成果公表の拡大に繋がっており、研究はおおむね順調に進展しているものと考えている
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、昨年から継続している東大との共同研究に加え、フランスCereqで博士人材調査を実施していた研究者とともに、博士人材調査などのマクロデータから経済支援状況等を比較する研究を進める、 また、博士課程学生への給与支給等の課題の参考となる、アメリカにおける大学院生に対する学内雇用等の状況について、現地調査を実施して、学生講師の研修や給与、運用状況等について調査を行う。 成果発表については、Covid-19の米国高等教育への影響について、東信堂から共著書 籍が出版される予定となっている。 このほか、学会発表として2022年6月に日本高等教育学会、日本比較教育学会、同10月に情報・イノベーション学会での発表を予定しており、学会発表の内容については東京大学教育学研究科紀要、東京大学学校教育高度化・効果検証センター(CASEER)紀要等に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響によりアメリカへの現地調査が実施できなかったため、研究年度の延長申請を行った。2023年度は7月頃にアメリカへの現地調査を実施し、大学院学生の学内雇用やキャリア支援に係る聞き取り調査等を行う予定である。
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