研究課題/領域番号 |
20K02977
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
加藤 基樹 早稲田大学, 大学総合研究センター, 准教授(任期付) (60507888)
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研究分担者 |
河井 亨 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20706626)
早田 宰 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80264597)
植杉 大 摂南大学, 経済学部, 教授 (90366972)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域連携 / 地域貢献 / コレクティブインパクト / 地方創生 / ディプロマポリシー |
研究実績の概要 |
研究の目的は、①テーマと学問領域によるマトリックスの分析、②海外の地域連携研究、③事例研究のデータベース化、理論化である。①については研究分担者を含めて全員で取り組んでおり、成果として「地域連携学」の教科書を作成することを目指して、そこで必要なテーマと内容について検討し、特に、そのために3回の研究会を実施した。この研究会は、コロナの影響によりオンライン実施であったが、研究者だけでなく大学職員も参加して活発に議論が行われた。研究会の概要は次の通りである。第1回 2021年6月30日(報告者:河井亨、遠藤健、加藤基樹)、第2回 2021年12月13日(ゲスト講演:同志社大学 新川達郎先生・地方自治)、第3回 2022年2月28日(報告者:早田宰、加藤基樹)。また、これらの成果を早稲田大学の講義科目「地域連携学1,2」で示し、そこでの学生の反応等も含めて、研究会にフィードバックを行っている。 ②については研究分担者の早田宰を中心に進めており、第3回研究会で報告、議論を行った。 ③については、研究計画において、早稲田大学の課外活動である「地域連携ワークショップ」をもとに、学生の地域連携のデータベース化を目指すとしていたが、コロナの影響で「地域連携ワークショップ」がオンライン実施となった。そのため、代替として立命館大学の「びわこ・くさつキャンパス(BKC)地域連携事例集」(各年度版)を用いて、テキストマイニングを行い、データベース化の準備とした。 また、新たな着想として、地域連携などの形で社会貢献の役割をもつ大学において、これがどのようにディプロマポリシーに表れるかについて分析を始め、2021年10月の日本地域学会において「ディプロマポリシーに見る大学の貢献と地域連携」と題して、個別口頭報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①については、地域連携学の構築、体系化の成果として、教科書を作成することを目標としており、現在はその前段階として、教科書の目次の作成に注力している。そして、地域連携学とその教育プログラムを構築するために、各学問分野の成果を持ち寄ることにしているため、できるだけ多くの関連する学問分野の論文、著作に触れ、また、専門家から直接に話を聞くようにしている。2021年度にはその中核をなす「地方自治」について、地域連携という点から新川達郎先生にご講演いただいたのは大きな成果であった。そして、これらを早稲田大学の正課である「地域連携学」で示し、履修学生の反応を見ながら、さらにブラッシュアップを進めている。到達地点としては順調であると言ってよい。 ②については、文献研究が中心となるが、研究分担者(早田)が、研究会において最新の業績に触れながら報告しており、順調に進んでいる。 ③については、研究計画でデータベース化の題材とするとしていた早稲田大学の「地域連携ワークショップ」が、コロナの影響でオンライン実施となっているため、その意味でやや遅れているとも言えるが、その分、上述の立命館大学「びわこ・くさつキャンパス(BKC)地域連携事例集」(各年度版)をテキストマイニングすることで、予想外の進展を見ることができた。今後は、コロナの状況を見ながら「地域連携ワークショップ」の現地フィールドワークを視察し、当初の目的であったデータベース化をキャッチアップしていく。なお、新たな着想を得て、大学のディプロマポリシーと地域連携をテーマに分析を進めており、これはさらに新たな展開を見せる予定で進めている。
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今後の研究の推進方策 |
①のテーマと学問領域によるマトリックスの分析は、引き続き、地域連携学の教科書の目次という形で整理する方向で進める。②については、国内の文献で取り上げられることが少ないので、海外文献を中心に確認、整理しながらとりまとめることができるように、引き続き進めていく。③については、上記の通り、コロナの状況を見ながら、「地域連携ワークショップ」の現地フィールドワークを視察することで、データベース化を進めていく。また、新たに着手した「大学のディプロマポリシーと地域連携」についての分析は、さらに別の要素、分析手法も加えながら拡大させていく予定である。 このように今後については、基本的に当初の研究計画に沿った形で進め、コロナによるデータベース化の一部遅れをキャッチアップしながら、新たな発想によって開始したディプロマポリシーと地域連携について、さらに研究を拡大していくが、今後、本研究を推進するなかで、検討しなければならない点に思い至った。それは、地域連携学とその教育プログラムを構築するにあたって、地域連携に関わる知識や知見を整理して示すだけの無味乾燥した体系だけではなく、地域連携学の学問的な哲学が必要であるということである。これがなければ、ただの整理にとどまり、学問体系として非常に浅いものになってしまうからである。また、地域連携の研究者、大学の教員として、地域連携の実践をどのように考えるか、についても新たな気づきがあった。教育プログラムの構築として、これらの点の検討は必須であり、あと2年間の研究期間の中でさらに練り上げていくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により、(1)予定していたフィールドワークができなかったため、旅費を使用しなかった。(2)研究会をオンラインで実施したため、ゲスト講師も含めて旅費を使用しなかった。
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