研究課題/領域番号 |
20K02990
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
萩原 拓 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00431388)
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研究分担者 |
片桐 正敏 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00549503)
蔦森 英史 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60708478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / アセスメント |
研究実績の概要 |
Vineland-II適応行動尺度およびウェクスラー式知能検査を「コア」として、複数の標準化検査で構成されるフォーマル・アセスメント、非標準化検査や面接・観察などで構成されるインフォーマル・アセスメントを、発達障害当事者の状態や生活状況に合わせて調整した包括的アセスメントを実施した。今年度は20ケースあまりの包括的アセスメントを行い、当事者およびその家族、また必要に応じて教員や医師などの支援関係者にフィードバックを行った。アセスメントの内容構成、実施、所見および支援に向けての提案という一連のプロセスは、本年度において固定されたと思われる。 また、蓄積するアセスメント・ケースのデータベース化に着手した。包括的アセスメントは、当事者個人のニーズに合わせた情報収集や分析を可能にするだけではなく、複数ケースのデータによって、発達障害の横断的分析も可能にする。データベースの構造は、包括的アセスメントのチームで利用できる形にすることを目標としている。 発達障害当事者の支援現場の目線で、包括的アセスメントの概要をまとめる作業を昨年度から行っており、それをまとめた本を出版した。研究計画では、最終年度に包括的アセスメント実施者向けのマニュアル作成を予定しているが、本書はその前段階とも言える、支援現場において包括的アセスメントの導入を促す内容となっている。また、アセスメントに必要な基礎知識やテクニックなども簡潔に解説した。出版に伴い、本書の内容に沿った研修も出版社の協力でオンラインで行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症拡大により、蔓延防止等重点措置や研究機関の閉鎖などにより、当事者へのアセスメント実施、学会等での情報収集、研修の実施など、対面による直接的やりとりが可能な機会が著しく制限された。基本的に、当初の研究計画どおりの進捗ではあるが、達成レベルは当初の想定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は概ね当初の計画通り進めていく。包括的アセスメント実施は継続し、並行してデータベース構築を継続する。また、可能な限り今年度出版された本をベースとした研修を計画・実施していく。これらの成果は、支援関係機関向けの包括的アセスメント実践マニュアルの作成に役立てていく。本研究において包括的アセスメントのコアの一つである、ウェクスラー式知能検査のWISCが第5版となった。かなり大幅に内容が変更されているため、これまでのアセスメントのプロセスに修正が必要かを確認する。その他、新たに包括的アセスメントに加えるべき標準化検査等についても、精査を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も前年度から引き続き、度重なる感染対策により学会等が中止またはオンラインのみになり、またアセスメントの実施も制限せざるを得ない状況にあったため、計画通りに予算を使うことができなかった。
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