研究課題/領域番号 |
20K02992
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柿澤 敏文 筑波大学, 人間系, 教授 (80211837)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視覚特別支援学校 / 弱視学級 / 2020年度 / 視覚障害原因 / 調査 |
研究実績の概要 |
2021年2月に実施した小学校197校と中学校54校の弱視学級に在籍した児童生徒の視覚障害原因等の郵送法による質問紙調査のデータ分析を行い、結果を得た。回答の得られた児童が275名、生徒は68名で、計343名のデータとなった。弱視学級在籍者は視力の範囲が広く、0.02未満から不明まで広がり、0.3以上の割合が高く、4割ほどを占めた。使用文字は拡大文字使用者が最も多く、次いで、普通文字使用、併用、点字使用者・文字指導困難者の順となった。視覚補助具は弱視学級在籍者の視覚補助具使用者は8割を超え、視覚特別支援学校の5割程度と比較して使用者の割合が高いことが把握できた。重複障害は視覚特別支援学校と比較して弱視学級では割合が低かった。視覚障害原因は先天素因が最も多く、次いで、未熟児網膜症、原因不明、腫瘍、全身病、感染症の順であった。眼疾患の部位について、眼球全体が最も多く、次いで、網脈絡膜疾患、視神経視路疾患、水晶体疾患、ぶどう膜疾患の順であった。視覚障害原因疾患は未熟児網膜症、小眼球・虹彩欠損、弱視、硝子体網膜症、視神経萎縮、白子症、眼振、黄斑変性となった。これらの結果について、第62回弱視教育研究全国大会(宮城大会)(オンライン開催:2022-01-14ー2022-03-31)にて口頭発表を行った。 また、2020年7月に実施したに全国視覚特別支援学校在籍幼児児童生徒の視覚障害原因等調査結果について、日本特殊教育学会第59回大会(つくば大会)(オンライン開催:2021-09-18-2021-09-20)にて口頭発表を行った。 研究報告書を2022年3月に発刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国視覚特別支援学校ならびに弱視学級在籍幼児児童生徒に対する質問紙調査を予定通り2020年度に実施し、分析・報告書作成を進めた。国内学会と研究会において、本研究に関連する研究知見の成果発表を行うことができた。また、報告書を刊行し、研究対象とした全国視覚特別支援学校ならびに弱視学級の一部に報告書を郵送して成果報告を行った。一方、未発送の視覚特別支援学校ならびに弱視学級には2022年度に報告書を郵送して成果報告を行う。また、通常の高等学校に在籍する視覚障害を有する生徒を対象とした調査の実施について検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に、2021年度までに配布が未完了の全国視覚特別支援学校ならびに弱視学級に報告書を郵送して成果報告を行う。 2022年度の研究計画・方法:全国の高等学校に在籍する視覚障害の可能性のある児童生徒を把握する方法を検討する。全国視覚特別支援学校ならびに弱視学級在籍幼児児童生徒に対する質問紙調査結果を日本特殊教育学会・日本弱視教育研究会・障害科学学会で発表する。 2023年度の研究計画・方法:前年度の調査結果の資料に基づいて、結果の整理と考察を行い、調査全体のまとめを行うとともに、過去の調査との比較を行い、縦断的・横断的に視覚障害原因等の推移等を明らかにし、その成果を学術誌に発表する。また、英文報告書の作成と国際ロービジョン学会参加・発表予定である。
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