研究実績の概要 |
2020年7月に、全国視覚特別支援学校67校に在籍する幼児児童生徒に対して視覚障害原因等の質問紙調査を実施し、全校より2,481人の回答を得た。在籍児童生徒の3割は普通文字使用が難しい視力0.01未満であった。小学部以上の文字使用者は1,858人(79.5%)で、重複障害等で文字指導困難が331人(14.2%)であった。点字使用者が566人、普通文字使用者が1,211人、点字と普通文字併用者が81人であった。これらの結果について、日本特殊教育学会第60回大会(2022-09-18-09-20:理事会開催つくば国際会議場)にてポスター発表を行った。 視覚補助具は在籍者全体のおおよそ6割の1,452人が使用していた。学部が上がるほど視覚補助具の使用割合が増加する一方、いずれの視力においても使用者が認められた。視覚補助具1種類のみ使用が4割で最も多く、種類が多くなるほど使用人数・割合は低くなった。5~8種類といった多種の補助具を使用する場合もあった。近用レンズの使用割合が最も高いが、20年間の推移では減少傾向にある。その他の補助具の使用割合はいずれも増加傾向にある。これらの結果について第63回日本弱視教育全国大会(栃木大会)(2023-01-18-03-31:オンライン開催)にて口頭発表を行った。 2021年2月に実施した小学校197校と中学校54校の弱視学級在籍の児童生徒の視覚障害原因等の郵送法による質問紙調査の結果、児童275人、生徒68人、計343人のデータが得られた。弱視学級在籍者の視力の範囲は広く、0.02未満から不明まで広がり、0.3以上の割合が4割を占めた。使用文字は拡大文字使用者が最も多かった。視覚補助具使用は8割を超えた。視覚障害原因は先天素因が最も多く、未熟児網膜症、原因不明の順であった。これらの結果について弱視教育60巻1号,28-36,2022に論文発表した。
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