研究課題/領域番号 |
20K02993
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
冨田 更紗 (甲斐更紗) 群馬大学, 共同教育学部, 助教 (40589636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 聴覚障害学生 / 合理的配慮 / 意思表明 / 語り合い |
研究実績の概要 |
(1)聴覚障害学生へのインタビュー調査(心理社会的発達段階の状況,大学に入るまでに教育や生活経験など):協力者を募集し,インタビューを実施する予定であったが,コロナ禍のため,延期となった。遠隔ビデオ会議システムを使っての予備的インタビューを20分ほど行なったが,通信環境やその場の雰囲気の調整が困難であることが明らかになった。 (2)高等教育機関にて聴覚障害学生支援を担当する教職員へのインタビュー調査(環境整備の工夫,当該学生の意思表明の行動,意思表明を促す働きかけの工夫など):協力者を募集し,インタビューを実施する予定であったが,コロナ禍のため,延期となった。遠隔ビデオ会議システムを整備したが,協力者の所属機関などのオンライン上での情報セキリュティへの懸念などがあり,延期とした。 (3)語り合いの場の予備的実施:2020年9月と2021年2月にろう学生数人とオンライン懇談(遠隔ビデオ会議システム活用)の機会を設け,コロナ禍における授業受講の合理的配慮の内容,合理的配慮を申し出るときの建設的対話をどのように図ったのか,合理的配慮の内容に疑問(情報保障の方法,質などに関する疑問など)を感じた場合,どのように改善を行なったのか,など,自由に語り合ってもらった(心理教育的プログラム実施の前の予備的調査をかねて,語り合いの場を設けた)。 (4)意思表明支援の心理教育的プログラムの内容と達成目標の策定:米国におけるDeaf Self-Advocacyに関する文献研究に着手し,米国のDeaf Self-Advocacy Training(Deaf Advocacy Training Work Team of the National Consortium of Interpreter Education Centers,2009)のプログラム内容および評価項目の仮訳を行い,問題点の整理をした。その後,日本における意思表明支援の心理教育的プログラムの仮案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)聴覚障害学生及び高等教育機関にて聴覚障害学生支援を担当する教職員へのインタビュー調査の延期:新型コロナウイルス感染防止のため、顔を直接合わせてのインタビューや協力者の所属機関への出入りが困難となった。遠隔テレビ会議システムを活用したインタビューを予備的に行ったが、協力者側の通信環境などの問題もあり、協力者の心理的負担が大きかったため中断した。 (2)webアンケート調査:アンケート協力者の募集にあたって、依頼先にある団体への挨拶回りも新型コロナウイルス感染防止のため中止となり、メールのみの挨拶、説明になってしまったため,次年度にwebアンケートの協力を再度依頼することにした。
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今後の研究の推進方策 |
・webアンケート調査(ろうアイデンティティ発達尺度,援助要請尺度,セルフアドボカシー尺度を用いる)の実施 ・新型コロナウイルス感染防止の状況によっては,聴覚障害学生や高等教育機関にて聴覚障害学生支援を担当する教職員へのインタビュー調査(対面またはオンライン形式)を再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
・コロナ禍による聴覚障害学生へのインタビュー調査の延期に伴う,謝金や手話通訳などの情報保障謝金,調査先までの旅費を次年度に使用し,インタビュー調査を行う。
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