研究課題/領域番号 |
20K02999
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
樋口 和彦 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80710110)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重度・重複障害児 / 生態心理学 / Behaviors Setting(行動場 面) / 重度・重複障害児の学習成立 / 能動的な学習を促進 / 活動の場 の設定 / 学習内容の選定 |
研究実績の概要 |
重度・重複障害児の授業を、樋口(2015, 2018)の重度・重複障害児の学習成立の条件(以下、学習成立の条件)を活用して検討した。まず、研究協力者の特別支援学校教員が行っている授業を観察、カンファレンス(活動内容を検討)、改善し再度授業を行い検討した。このサイクルの中で、次のことが示唆された。能動的に子どもが学習に取り組むためには、学習成立の条件の項目のうち、「ともに活動する他者との価値観の共有」が重要なことである。授業で重度・重複障害児が教員の共同的に活動している活動は、教員の教育意図に基づいて計画された活動ではなく、子どもの興味・関心に基づいて計画された活動であった。教員が、教育的意図を持っていたとしても、子どもの興味・関心がある活動を共同的に行って、その中に教育的意図を少しづつ含めていくことが必要であった。 これにより、学習成立条件の「構成員の価値観」のすりあわせが、能動的な活動の基盤となることが示唆された。つまり、いっしょに活動を行う他者との意図の調整が非常に重要であるということである。活動に参加している各構成員は、それぞれが意図をもっている。授業では、教師の「学習して欲しいこと:目標」と参加する子どもの「好む活動:意図」は、大きなずれがある場合が多かった。教師が目標を持って授業を行う際、この「子どもの意図」を理解した上で活動を考える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
授業観察前に、アンケート調査及び評定尺度による評価を予定していたが、実際に教育現場での観察を通して、【能動的な行動を引き出す要素】を分析した方が、成果が上がると判断し、授業観察を行うことから研究を進めた。 その結果、能動的に子どもが学習に取り組むためには、学習成立の条件に挙げられている項目のうち、「ともに活動する他者との価値観の共有」が重要なことである。そして、構成員の価値観のすりあわせが、能動的な活動の基盤となることが示唆された。 これに関して、現在、考察を行っているが、宮武(1990)が挙げた重度・重複障害児の特性が検討の視点となると考えている。つまり、重度・重複障害児の行動は、特定の人や場の個別的特性に基づいて学習されており、学校を、子どもの行動様式を支える生活の場としてとらえるということである。以上のように、次の検討の視点が明確になっている。
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今後の研究の推進方策 |
授業観察により、能動的に子どもが学習に取り組むためには、学習成立の条件に挙げられている項目のうち、「他者との価値観の共有」が重要なことが明らかになった。そして、構成員の価値観のすりあわせが、能動的な活動の基盤となることが示唆された。 本年度は、宮武(1990)が挙げた「重度・重複障害児の行動特性(特定の人や場の個別的特性に基づいて学習されており、学校を、子どもの行動様式を支える生活の場としてとらえる)」に基づいて、授業観察、検討、改善を行い、特定の人や場の個別特性と重度・重複障害児の能動的な学習の条件の明確化に取り組む予定である。 授業観察をする際、①授業に参加する教師・他児童・他生徒の価値観や場の特性の分析をおこなう。その後、②対象児童・生徒の価値観を分析し、①でも結果との関係性を明確にし、能動的な活動に導くポイントを検討したい。 現在コロナウィルス感染症の蔓延から、県をまたいだ移動が難しくなっている。そこで、県内の研究協力者を増やし、県内の特別支援学校等でも多くのデータ収集ができるようにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症蔓延により、横浜市等、県外の研究協力施設での情報収集が難しかった。そのため、旅費等使用できない額が生じた。令和3年度は、所属先と同一県に所在する特別支援学校等を研究協力先に加えた上で、研究を継続する。 研究協力施設を県内にすることで、県を跨いだ移動すが可能になり、情報収集が可能になる。 以上の研究体制を整え、当該助成金と翌年度分の助成金を合わせた使用を行いたい。 使用計画としては、新たな研究協力先にビデオカメラなどの、映像記録機器やh
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