研究課題/領域番号 |
20K03006
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小渕 千絵 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (30348099)
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研究分担者 |
小林 優子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (40594411)
芦谷 道子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70452232)
岩崎 淳也 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 准教授 (40757027)
三森 千種 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (70807528)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Listening Difficulties / 聞き取り困難 / 学校支援 |
研究実績の概要 |
2022年度は、本研究課題で目的としている2つのテーマに沿って、データ収集と解析を行った。 1)小学生、中学生を対象とした聞き取り困難例の発症率に関する調査 通常学級に在籍する小学生410名、中学生213名に全校調査を実施し、聞き取り困難の発症率について検討した。小学生向けの調査では、小川ら(2013)の質問紙を回答しやすいように表現を変更したものを用い、中学生向けにはObuchiら(2019)の質問紙を実施した。この結果、小学生では2.4%、中学生では3,8%で聞き取りにくさの自覚があり、LiDと考えられる症状を有していることが明らかとなった。一方で、質問紙得点は低いものの、自覚がない例も多くみられ、このような例の存在がLiDの鑑別を困難にしているものと推測された。 2)学校教諭向けの支援情報と具体的な支援に関する調査 養護教諭を含めた学校教諭84名を対象に、LiDの概念や対応に関する講話を行い、LiDの可能性のあるお子さんの存在の有無、支援の必要性などに関する調査を行った。この結果、LiDの可能性のある子どもが在籍する、あるいはその可能性が高いとされたのは90.5%であった。このような児童への支援については、学級担任と連携し、保護者面談の際に状況の確認が必要(75%)と考えられるが、実際にどのように対応すればよいか分からない(9.5%)との回答も得られた。外部専門家との連携については、95.2%が必要と回答した。聞き取れない子どもがいることを知らない教員もいるため、もっと広く情報を伝える必要があるとする自由回答も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題で実施予定であったデータは全て集めてあるが、その解析がまだ残されていること、また学会発表、論文投稿が期間内に終了できていなかった。2023年度には、データ解析が出来次第、研究成果を学会にて公開していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、1)本研究課題で得られたデータを解析すること、2)研究成果を公表すること、の2点を行っていく予定である。 1)については、得られたデータの結果の整理方法を検討し、聞き取りにくさを抱える子どもがどのような困難さを抱え、学校場面でどのように困り感を抱えるのかが明確になるよう、解析して示すことを検討している。 2)については、2023年度の学会(日本特殊教育学会、日本心理学会)での研究発表、および日本心理学会でのシンポジウムを行い、広く成果を報告する予定である。また、学会発表後には、研究成果を英文にまとめて海外誌に投稿し、公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題でのデータ解析、成果発表が期間内に終了しなかったため、2023年度に延長となった。データ解析のための消耗品購入費用、日本特殊教育学会、日本心理学会での学会発表およびシンポジウムの開催のための費用、成果の英文誌への投稿費用として使用する予定である。
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