本研究は、MI(マルティプルインテリジェンス)を活用した包括的なインクルーシブシステムの開発であり、初年度は、MIのアセスメントツールの開発、2年目は、MIを活用した授業実践を展開した。2年目は、小学校、中学校で主に実践を行い学校全体を挙げた活動として学力向上、学習意欲の向上に貢献した。3年目は、高校通級での実践を通し、小中高の継続的なインクルーシブ教育の在り方を検討し、以下の実践を行った。 2022年度(最終年度)は、以下2つである。1)MI(マルティプルインテリジェンス)を活用した授業実践の支援、2)自立のためのサポートブック教科書、サポートブックの作成。1)MI実践者の自主勉強会を定期的に開催し、クラスのMIバランスのアセスメントに基づいた授業計画の立案、授業実践、授業評価のルーブリック作成、MIタイプ別のワークシートの作成等を行った。2)自立のためのサポートブック(教科書)、サポートブックの作成は、MIに基づく授業を展開する中で、発達障害のある児童生徒、特に高校通級のグレーゾーンの生徒の就労や進学後の自立に向けて、個人の特性に応じた対応ができるような教科書と持ち運びできるサポートブックが必要であることがわかり、最終年度に作成した。本サポートブックは、本人あるいは、支援者がフォーマットに回答することで自動的に「強み」と「弱さ」の要素が提示され、それに基づいて具体的にどのような対応をすればよいかの例をイラストを交えて作成したものである。①身辺自立、②作業・学習、③対人関係1(身近な人との関係)、④対人関係2(社会生活における関係の維持)、⑤自己コントロールの5項目である。3年間の研究成果は、2冊の書籍に編纂中であり、授業実践編および教材編として、2024年3月に発行できるよう準備中である。
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