発達障害のある子どもは「限定された食材しか食べない」、「定型発達の子どもと比べて、苦手な食品の種類が多い」などの強い偏食傾向がみられる 。しかし医療機関では、サプリメントが処方されるだけのことが多く、偏食の改善につながる指導がなされているわけではない。また発達障害のある子どもを持つ保護者は定型発達児を持つ保護者よりも、子どもに好きな食べ物だけを与える傾向にあることが確認されている。これらのことから、発達障害のある子どもの偏食を改善するには、家庭や幼稚園、保育所、学校、療育機関など、それぞれの場における教育的指導が必要不可欠であると言える。そこで本研究では、これまでの保育者等への対応の蓄積を基に、発達障害のある子どもを育てている保護者を対象とした、以下の5つの柱に基づいた偏食改善プログラムを開発した。 ①食べない原因を考える:子どもによって、食べない原因は異なる。その子どもが食べない原因を考えなくては対応がうまくいかない。 ②スモールステップで取り組む: 偏食の改善には非常に時間がかかる。苦手な食べ物を口にできるようになるまで、年単位の時間が必要になることもある。 ③強制しない:食べることを強制しても、偏食の改善には効果がない。むしろ、食事恐怖に陥ったり、食事そのものに対する興味を失ったりすることになる。 ④変化を少なくする:自閉症傾向のある子どもへの対応では、「いつも同じように」が重要である。食べ物の量が多少増えることはあっても、ランチョンマット、スプーン、フォーク、はし、コップ、イスなどはその子どものお気に入りを使う。 ⑤少しでもできたらほめる:偏食の改善に失敗しているケースのほとんどは、子どもをほめていないことが原因であった。
|