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2021 年度 実施状況報告書

手話活用児童の英語の音韻形成と英単語書字に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03021
研究機関東京学芸大学

研究代表者

濱田 豊彦  東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (80313279)

研究分担者 高山 芳樹  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10328932)
大鹿 綾  東京学芸大学, 教育学部, 講師 (10610917)
櫛山 櫻  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 助教 (40722822)
喜屋武 睦  福岡教育大学, 教育学部, 助教 (80827014)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード英単語 / 音韻 / フリガナ / 学習
研究実績の概要

本年度は①聴覚特別支援学校の発音に関する調査と②聴覚障害児の英単語記憶方略について検討を行った。
①聴覚特別支援学校の授業における英単語のふりがな表記の実態や表記の仕方を把握し分析するとともに、読み方や発音習得に向けた教員の意識の傾向等を考察した。全国の聴覚特別支援学校で外国語や英語科の教員97名に実際の振り方を調査した結果、聴覚障害児への外国語指導経験が長いほど、単語単体の読み方ではなく連続することによる音の変化まで表記することが多くなり、また、「potato」のようなカタカナ語では、カタカナ語のままではなく「ポテイトウ」のような実際の発音に近づけた読み方を表記している傾向にあることがわかった。また意識調査からは、カタカナ英語のような発音であっても発音(音声)を習得させたい、発音よりもスペルをしっかり書けるようにさせたい、という傾向が見られた。
②聴覚特別支援学校中・高等部に在籍する44名を対象に、英単語を短時間(1字/200ms)提示して、その単語を書きとらせた(スペル転記)。併せてその単語の発音をカタカナ表記させた。スペル転記の平均正答率は46.3%(有意味単語:49.6%、非単語:38%)であったのに対し、読み方テスト平均正答率は28.4%となり(有意味単語:35.4%、非単語:14.4%)、スペル転記の平均正答率よりも17.9ポイント低い結果となった。となった。単語のスペルを書けても発音を書けない(推測できない)ことから、聴覚が英語の文字と音の連結に困難さを生じさせていることを示すと考える。また、文字数の多い単語で成績が低下する傾向があったが、短くても/judge/のように低成績の単語があり、文字列と音の関連を今後詳細に検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では①現在の聴覚障害児教育における英語指導に関する実態調査、②聴覚障害児の日本語の音韻活用能力と英語の音韻習得および英単語習得との関連の分析、③研究②から抽出されるアンダーアチーバーに対する介入研究、④先駆的な内外の取り組みの収集を行い、教育現場に発信することを計画している。
①②に関しては、新型コロナへの対応が緩和された2021年度の後半から学校現場に入ることが可能になったので学校教員からの情報収取やデータの収集を行い「おおむね順調」であるが、データ分析は終わっているものの、研究業績としては現在投稿中であり成果を明らかにできていない状況である。
同様に新型コロナ感染症の影響で③のアンダーアチーバーへの介入研究の進捗が遅れている。介入実践をスタートさせたばかりの段階であり、まだ成果の集約ができていない。本来は2021年度中に中間報告を出す予定であった。現在、聴覚特別支援学校教員の協力も取り付けているので、感染状況に関わらずこの取り組みを進めていきたいと考えている。
④に関しても、海外視察がこれまでできていない。可能な範囲に計画を絞りオンラインなどを活用しての情報収集に努めることとする予定である。

今後の研究の推進方策

日本語の音節(モーラ)はCV構造(C:子音、V:母音)が基本となっており、一方の英語の音節はCVC構造が基本であるために日本語母語話者は、子音の部分にそれぞれ母音を挿入し、CCVC構造の英単語を、CV、CV、CVのように認識してふりがなを振ることが多い。また、[l][d]のような子音であっても相対的に「聞こえ度」の高い場合音節主音となることもあり、日本語の音韻と異なる点である。聴覚入力に制限のある聴覚障害児を指導する教員の8割以上がネイティブスピーカに近づけるより正しく単語を綴れることに重点を置いていることが明らかになった。介入研究によって重度の聴覚障害児に対してすでに獲得している日本語の音韻を利用して英単語の想起や意味の理解を円滑にしていく指導法について明らかにしていく予定である。
また。英語の短い文章や単語の学習に困難を示す聴覚障害児(アンダーアチーバー)への指導では、ベースとなる母語の力とともに視線分析も活用しながらそのメカニズムを明らかにする予定である。
海外視察については不確定要素が強いのでオンラインによるインタビューなどを検討しているところである。
現在準備を進めているものも含め、査読論文として発表するとともにホームページを通じて研究成果を明らかにしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の影響がなければ、海外視察を行っていたがそれができなかった。その分を国内視察とオンライン会議のための機器の購入に充てる予定である。
また、介入研究に関しても緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のたびに中断を余儀なくされてきた。アンダーアチーバーへの指導は短絡的にオンライン指導に切り替えることが困難であり、今後も対面指導をベースに丁寧に検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 聴覚障害児の音韻意識の発達における音韻ループと実行機能の関係2021

    • 著者名/発表者名
      長南浩人,濵田豊彦,城間将江
    • 雑誌名

      コミュニケーション障害

      巻: 38巻2号 ページ: 105-112

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 聴覚障害児の音韻・韻律そして言語力の特集にあたって2021

    • 著者名/発表者名
      濵田豊彦
    • 雑誌名

      コミュニケーション障害

      巻: 38巻2号 ページ: 132

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 聴覚障害児の書記表現と音韻意識の発達に関する一研究-被害の状況表現の違いから-2021

    • 著者名/発表者名
      渡部杏菜, 濵田豊彦
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第59回大会

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公開日: 2022-12-28  

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