研究課題/領域番号 |
20K03037
|
研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
青木 高光 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 主任研究員 (40846458)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 3Dプリンター / 教材データベース / 特別支援教育 / 多様な障害種 |
研究実績の概要 |
以下の通り研究活動を実施した。 (1)質問紙調査「教材の開発と活用に係る実践事例を有する教員の、3Dプリンター活用に関する意識調査」:特別支援学校4校(知的障害2校、肢体不自由2校)、特別支援学級設置校1校に対して3Dプリンターに関する知識・関心に関するアンケート調査をおこなった。これらの学校は、先進的なICTや教材に関する実践研究を行っていると判断された学校(魔法のプロジェクト、パナソニック教育財団教育実践などの研究助成を複数回受けている学校で、それぞれ優れた実践研究により、推奨事例として公表され、あるいは優秀・奨励賞を得ている学校)である。調査対象者は、この学校の中で、上記の受賞歴のある教材開発の中心的な立場の教員とした。A4で2ページ10問程度、実施予想時間は20分のアンケートを実施した。それぞれの障害種、学校種で先進的な取り組みをしている教員の教材開発おける考え方、実際の製作の手法などを把握することができた。 (2)3D教材データの作成:過去の研究で開発済みのデータを元に、より精密な3Dデータを作成した。音声表出型コミュニケーションエイド、計算補助用10玉そろばん、自立課題用プットイン教材、肢体不自由やADHDなどの障害種を想定した楽器演奏補助具・筆記補助具など、様々な障害種、困難点に対応した5種類7パターンのSTLデータを作成した。 (3)タブレット専用STLデータ閲覧アプリ開発のための予備的調査と仕様の検討:タブレット端末で自作の3Dデータを登録・共有・閲覧できるアプリはほぼない。新たなカテゴリのアプリ開発に向けて、必要な基本機能とそれを実現するための技術情報を収集整理し、仕様案をまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、研究協力校に3Dプリンターを配備し、導入の補助とインタビュー調査などを行う予定であったが、コロナウイルス感染予防による休校、都道府県を越えた移動の制限などにより、対象校を直接訪問しての共同作業や調査を行うことができなくなった。そのため、各協力者による3Dモデルの作成・共有、共同でのモデルのブラッシュアップなどの研究活動を行うことが困難となった。このような状況を踏まえ、初年度は研究協力校に対してはアンケートによる調査のみに留め、研究代表者単独の3Dモデル制作、と、次年度に行う予定であるアプリケーション開発に関わる予備的検討を行うこととした。そのために、研究活動全体としては進捗に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究協力校に3Dプリンターを配置し、研究協力者との連携しながら、3Dデータの作成を進める。また、活用上の技術サポートとして、ZOOMなどの遠隔会議技術を利用しながら情報交換を進める。並行してアプリ開発の委託関連の契約作業を進め、仕様に沿ったアプリの開発を行う。完成したアプリは研究協力者を中心に活用を進め、データの共有とそれをもとにした、児童生徒一人ひとりに合わせた教材・教具データのカスタマイズも行う。 また合わせてアプリの改善点を洗い出し、ブラッシュアップを進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染予防による休校、都道府県を越えた移動の制限などにより、対象校を直接訪問しての共同作業や調査を行うことができなくなったため、旅費や通信費が不要となった。また、アンケート調査の結果を踏まえて、各校に配備をお願いする予定であった3Dプリンターも購入を延期した。これらの理由から次年度使用予算が発生した。
|