以下の通り研究活動を実施した。 ①3D教材データの作成:様々な障害種・困難点に対応した教材教具のSTLデータ(三次元形状を表現するファイルフォーマット)を作成した。それにより前年度までの成果物(音声表出型コミュニケーションエイド4種、書字補助教材2種、計算補助用教材1種、自立課題用プットイン教材3種、算数における図形作成用補助具2種、自立課題用教材9種)に加えて新たな教材8種を追加した。また、旧教材データを前年度に発案した新たなフォーマットである「EMDAC」(=Educational Materials Designed to fit in an A size Case:安価に購入できるA5サイズおよびA4サイズドキュメントケースに簡便に収納できるサイズに納まる共通フォーマット)に対応できるよう修正を進めた。新規教材はすべて同フォーマットで作成した。以上の成果をもって3Dプリンターによる教材作成のあり方の一つを示した。 ②既存の3DデータベースサービスとNASを併用したデータ共有システムの運用:前年度までの成果を踏まえ、既存のwebサービスおよびNASを併用した、データ共有の運用を進めた。また、今後データ作成協力者が増えても対応できるよう、さらに一般的なサービス(Thingiverse)へのデータ移行を行なった。 ③LiDARセンサーを用いた既存自作教材の3Dモデル化:一昨年度試験的に導入した、LiDAR(赤外光を対象物に照射し、反射光で距離を測定するセンサー)と3Dスキャンアプリを用いて、既存の自作教材の3Dデータ化を行った。また、補助具と教材のモデリングデータを合成することで、個々の児童生徒の運動面の特性に合わせた教材パーツの作成が可能となった。補助具を用いて教材の操作を容易にするのではなく、教材自体を身体の特性に合わせることが可能になることを示した。
|