研究課題/領域番号 |
20K03040
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
白岩 伸子 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (80762202)
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研究分担者 |
周防 佐知江 筑波技術大学, 保健科学部, 研究員 (00816077)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 音声触図教材 / ドットコード / タブレット端末 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、全盲者と弱視者両者が同時に利用できる“「しゃべる」触図教材”を開発することである。視覚障害者の協力を得て評価・試作を繰り返し、その制作ノウハウなどの成果を全国の特別支援学校や視覚障害施設に提供し、晴眼者と共に学べる学習環境を実現することを最終的な目標とする。我々は、現在タブレット端末を弱視者のみならず、全盲者にも一定の部位を触れることで、読み上げ機能と連動して簡単に操作可能にするなどの工夫をしている。 さらにタブレット端末を触図と連動させることができるならば、触りながら文字情報のみならず、図表についても音声情報を付加して理解することが可能になる。すなわち、タブレット端末一つに,機能をまとめオールインワンにすることで、「読む」行為がより容易になる。またタブレットにすることで視覚障害者にとっての学習ツールがよりポータブルな形となり、どこでも使用可能となる。 令和2年度は、授業用教材の触図や図表の解説を人工音声変換によって音声ファイルへと変換しドットコードへの組み込み作業を行った。ドットコードをより簡便、大量、また安価に触図に加える方法の一つとしてシール素材に印刷して触図に貼付する方法や2.5Dプリントシステムにて作成した触図への活用も検討した。 令和3年度は、さらに、タブレット端末上に触図を載せ、触図を触りながらタブレット端末の音声情報を得る新規技術の開発を試みた。 令和4年度は、さらに学内の倫理委員会の承認を得た「視覚障害学生のための触図と音声を付加したパワーポイント教材を連動させた新規学習ツールの開発」を進めているところである。小テストおよびアンケートなどを行い、教材の学習に対する効果および使用感について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画上①ドットコードの技術をさらに発展させ,触図に取り入れる、②読み上げ機能を付加したタブレット端末と触図の連動を計画した。①まずドットコードの技術をさらに発展させ,触図に取り入れる。 令和2年度は、授業用教材の触図や図表の解説を人工音声変換によって音声ファイルへと変換しドットコードへの組み込み作業を行った。ドットコードを市販のシール用紙に印刷したものを触図に貼ることで、触図に音声情報を追加する方法を考え、すでに試作品を作成している。この方法では安価に音声付加シールを量産することが可能である。さらに、新しい技術である, ドットコードを加えた2.5Dプリントシステムの応用を今後予定している。 ②読み上げ機能を付加したタブレット端末と触図の連動 令和3年度は、タブレット端末に触図を載せて、触図を触りながらタブレット端末の音声情報を聴くという方法を検討した。タブレット端末一つに、機能をまとめてオールインワンにすることで、携帯できる「読む」ツールが可能になる。現在このシステムを開発中である。 ただし本学視覚障害学生に新規音声触図教材の使用感などを聞き、それに基づいてさらに改良を加えていく予定であったが、本学の新型コロナ(COVID-19)感染予防対策として、令和4年度も引き続き、遠隔での講義が長期だった為支障が生じた。今後は、新型コロナ(COVID-19)感染予防対策に十分注意を払った上で、引き続き新規教材の開発、およびその教材の視覚障害学生教育への試作および改良へと進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、引き続き上記の新規教材開発を進めていく予定である。また、その新しい図表教材「しゃべる触図」を墨字使用者・点字使用者共に視覚障害学生の授業に取り入れ、その使用感や学習効果を墨字使用者・点字使用者毎に確認する。あはき師国家試験対策の自学教材への応用も検討中であり、さらに学生にとって有意義な使用しやすい形へと発展させていく予定である。この新しい技術を開発することは、視覚障害者への情報保障として画期的であり、全国の視覚特別支援学校での小中高等学校教育にも応用できると思われる。またこの技術を用いれば、一般企業の視覚障害者用パンフレット、地図機能を有する音声ガイド付き触地図も作成可能となるため、博物館・美術館などの文化施設での応用も可能と考えられる。令和5年度以降は、 視覚特別支援学校の小中高等学校教材や一般企業の視覚障害者用パンフレット、地図機能を有する音声ガイド付き触地図等への応用を行い、その有効性の検討をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度もまた、コロナ禍のため東京の印刷会社等とのやりとりなどは、遠隔やメールのみとなったことから、2.5Dプリントシステムの開発、またタブレット端末に触図を載せて、触図を触りながらタブレット端末の音声情報を聴くという新システムなどの開発にどうしても支障が生じた。そのため、できる範囲で上記の研究開発を行ったが、当初の予定より使用額が低くなり、次年度使用を予定している。 また本学視覚障害学生に新規音声触図教材の使用感などを聞き、それに基づいてさらに改良を加えていく予定であったが、本学の新型コロナ(COVID-19)感染予防対策として、学生も遠隔での講義が長期に渡ったことから、そのようなことが不可能だった。そのため、当初の予定より使用額が少なく、次年度使用を予定している。 今後は、新型コロナ(COVID-19)感染予防対策の変更点に十分注意を払った上で、引き続き新規教材の開発、およびその教材の視覚障害学生教育への試作および改良へと進めていく予定である。
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