研究課題/領域番号 |
20K03045
|
研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
牛山 道雄 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90397836)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 眼球運動 / 不器用 / 感覚機能 / 手指機能 / 認知特性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,視機能と手指機能・感覚機能などの諸機能との関連性を検討することを通して,視機能に課題のある児童生徒を特定できる簡易スクリーニングを開発することを目的としている。 2023年度(令和5年度)は,前年度に収集した大学生を対象とした予備調査をまとめ,発達障害学会第58回大会においてポスター発表を行なった。概要は以下の通りである。 <対象者>大学生20名(男性10名,女性10名;平均年齢21.3±0.8)であった。<調査項目>1)眼球運動の敏捷性および正確性。2)手指機能の巧緻性とパワー。3)感覚機能の評価(低登録,感覚探究,感覚過敏,感覚回避),4)社会認知機能の評価(日本語版自閉症スペクトラム指数成人版:社会的スキル,注意の切り替え,細部への関心,コミュニケーション,想像力)。<結果と考察>視機能の不全は他者からは一見して分かりにくく,そのため,他者からも分かりやすい運動機能や社会機能との関連性を見出すことが期待されたが,機能間相関が認められたのは,握力と眼球運動の敏捷性のみであった。しかも,相関係数はそれほど高くなかった(r=.48およびr=.49)。その一方で,相関かは有意ではなかったが,相関係数自体はそれほど低くない値を示した変数も散見された(低登録r=.-42;感覚探究r=.31;コミュニケーションr=-.39)。これらの変数に注目しつつ,小学生を対象とした本調査においては,大学生に実施した測定項目の他に視機能と関連のある指標を盛り込む必要が感じられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症が5類感染症扱いに移行したのちも,小学校における測定の実施の調整がつかないため,小学生を対象としたデータ収集が滞っている状態である。引き続き,研究協力校を探していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで同様に研究協力校を探していく。 また,測定項目については,前年度の大学生を対象とした予備研究の結果から,眼球運動の不器用さと関連がある指標は握力であることが示唆されたが,これ以外にも眼球運動と関連のある機能を探っていく。これは,運動機能に限らず,日常生活における生活機能や学習態度を含めて検討していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
小学生を対象とした測定を実施していないため,測定に必要な質問紙などが未購入である。ただし,視機能の測定に必要な眼球運動測定装置は整備されている。また,小学生のデータを発表するための旅費,および投稿論文掲載費が未執行である。 今後は,小学生のデータを収集,分析し,学会発表および論文を投稿していく予定である。
|