研究課題/領域番号 |
20K03053
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
池田 泰子 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (90387514)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 吃音 / インタビュー / 環境調整法 / 評価票 |
研究実績の概要 |
2021年度は、下記2件の課題を実施した。 ①環境調整法が良い方向に向かっているかを把握することを目的として、保護者に評価してもらうチェック票(案)を吃音臨床経験20年以上の言語聴覚士2名で、3種作成した。 1)吃音症状チェック票:21項目から構成されており、吃音症状の種類や量のチェックだけではなく、改善の前兆として考えている「遠慮なく感情が出せるようになっている」「甘える行動が増えた」等の自発的な感情や意志の表出状態に関する項目を盛り込んだ。また、悪化の現れとして、「スムーズに話すための話し方の工夫をしているように見える」「症状があることを気にして言うのをやめることがある」等の吃音症状が良くないものと認識し、隠そうとする行動に関する項目も含めた。2)子どもの主体的な言動チェック票:26項目から構成されており、「対大人」「対友達」「対ストレス」の3部に分かれている。3)保護者の言動セルフチェック票:28項目から構成されており、「考え」「言動」「気持ち」の3部に分かれている。
②改善した吃音者と吃音児の保護者にインタビュー調査を実施 RASS理論に基づく年表方式のメンタルリハーサル法を実施し、吃音が改善した20代1名とRASS理論に基づく環境調整法を実施し、吃音が改善した幼児から小学校低学の子どもの保護者5名にインタビュー調査を実施した。保護者から得られた情報では、子どもに対する接し方を変えようと思った動機や方法はそれぞれ異なっていたが、共通していたことは、子どものことをよく観察するようになり、子どもの気持ちを考えるようになった事であった。インタビュー調査から得られた知見は、2022年度に作成予定の事例集に掲載する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度にコロナの影響で訓練を定期的に行うことができず、吃音児者の吃音の改善が遅れたことにより、研究の進捗も遅れた。2021年度もその遅れが影響し、吃音が改善した吃音者や吃音児の保護者を対象としたインタビュー調査を実施することができたのは年度末となった。そのため、インタビュー調査から得られた知見を基に作成予定であった事例集の作成に至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は次の3つの課題を実施する予定である。1.症状が改善した成人吃音者の改善過程を明らかにし、吃音の早期改善のヒントを得る。2.2021年度に作成した環境調整法に用いるチェック票(3種)を吃音臨床を行っている言語聴覚士や吃音のある子どもの保護者に意見をもらい、改訂を行う。3.インタビュー調査から得られた知見を基に事例集を作成する。 2020年度に予定していた課題がコロナ感染の影響で遅れたため、研究期間を1年延長し、2023年度には、チェック票を活用するマニュアル、チェック票から得られた情報をどのように解釈し、支援につなげていくか等の評価から訓練につなげる部分の資料を作成する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、インタビュー調査が年度末となったため、その調査を踏まえて作成予定であった事例集を作成することができなかったために生じた。2022年度は、事例集の作成とともに、症状が改善した成人吃音者の改善過程に関わるデータの入力や分析、環境調整法の評価に用いるチェック票(3種)について、吃音臨床を行っている言語聴覚士や吃音のある子どもの保護者の意見を聴取するために使用する予定である。
|