研究課題/領域番号 |
20K03059
|
研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
黒田 一寿 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (60331998)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 心理的バリアフリー / 障害の社会モデル / 発達障害 / 障害平等研修 / 平等価値 |
研究実績の概要 |
本研究では,キャンパスの心理的バリアフリー推進を目的とし,障害の社会モデルを切り口とする発達障害を問題提起教材に用いた新たな発見型学習プログラムの開発を目指している。当初の計画では,学習プログラムを対面形式のグループワークで構成し試行する予定であったが,新型コロナウィルス感染症拡大の影響により対面形式の授業が行えない状態が続いたため,計画変更を余儀なくされた。そこで,令和3年度はオンライン形式によるグループワークを試行した。そして,このオンライン形式によるグループワークによって十分な学習成果が得られるかを検証すべく,以前より実践してきた対面形式のグループワークとの比較を行った。その結果,用いるツールの使い勝手や,参加者の慣れといった影響はあるものの,オンライン形式でもグループワークが成立することが確認できた。ただし,それぞれのワークショップにおける成果物を分析し比較した結果,アイデア出しにおけるアイデア数や,アイデアの網羅性,特異なアイデアの出現率において,いずれも対面形式の方がオンライン形式を上回る結果となった。当然の帰結として,オンライン形式のおける身体性の欠如をどのように補うかが課題となった。今後は,新型コロナウィルスによる制限も徐々に緩和されつつあることから対面形式による学習プログラムの開発に戻るが,同時に,今年度の試行を活かしてオンライン形式への移植も念頭にプログラムの開発を進める。また,国内外への出張が許される状況になり次第,障害平等研修に関する調査にも着手したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,初年度となる令和2年度に国内外の障害平等研修(DET)の実地調査を行う予定であったが,新型コロナ感染症の拡大によって海外への渡航はおろか国内の移動も制限され,その状況は令和3年度も継続し,これらの調査を実行することができなかった。学習プログラムの開発は先行して着手したが,この実地調査については新型コロナ感染症の収束を待つしかない状況である。本研究において重要な資料の収集が見込まれる調査であるため,計画を柔軟に変更しながら実現に向け準備を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
対面形式によるワークショップが実施できないことによって計画変更を余儀なくされた令和3年度であったが,発想を転換し,オンライン形式によるワークショップの実施可能性と課題を検証することができた。今後は,この新たな手法を基の研究計画に組み入れることにより怪我の功名となし,本研究の目的であった障害の社会モデルを切り口とする発達障害を問題提起教材に用いた新たな発見型学習プログラムの開発を,対面・オンラインのハイブリッドで進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国内外の調査を予定していたが,それが全て実施できなかったため旅費を繰越しとすることとなった。また,テープ起こし等のために計上していた人件費につい て,令和3年度は学習プログラムの形態をオンライン形式に変更して試行したことに伴って研究補助員の雇用を見送ったため,次年度へ繰越しすることとなった。今後は,新型コロナ感染症の収束状況をみながら,計画を柔軟に変更しつつ研究を遂行する。
|