研究課題/領域番号 |
20K03073
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣岡 秀明 北里大学, 一般教育部, 准教授 (60296522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 物理教育 / ゲーミフィケーション |
研究実績の概要 |
近年、学習意欲および学習時間の低下が危惧されるようになってきている。特に、物理学のような学生による選好度の低い科目は、その傾向が強い。これらの改善には、内発的動機付けが必要であり、試験の成績による生殺与奪の権利をちらつかせたとしても、試験前に一時的に改善されるだけである。そこで本研究では、ゲーム開発における手法を援用したゲーミフィケーションという概念を利用して、自ら進んで学習しようと思わせるしくみを導入し、学習意欲と学習時間をともに向上させることを目的とした学習プラットフォームの作成を行っている。 基本的にはWEBを利用し、データベースによって学習記録を管理するシステムを構築し、さらには講義内でも出欠管理や課題の提出といった正課内外でも利用できる学習サイトを運用している。特に、昨今ではオンライン授業における不正問題も表面化していることから、出席やオンライン試験といった不正が起こりそうなものについては、アクセスしている端末のGPS情報を利用し、学生一人一人が、個別にしっかりアクセスしていることを確認するしくみを導入している。 正課内外での利用や、コロナ禍であることによるオンライン教材の充実化も相まって、サイト内滞在率も上昇し、当該年度においては、1日の学習時間をある程度確保することができたと考えている。また、継続性についても、前期講義初日から後期試験当日までの267日間のうち、90%にあたる240日間にわたりサイトにて学習した学生の割合は48%であり、全日数の80%である214日であれば、履修者数の58%にも上る学生が、ほぼ毎日課題に取り組んだという結果が得られた。細かな分析はこれからであるが、現時点では、おおむね学習時間については確保できているものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度で、おおむね学習プラットフォームとなる講義用サイトが完成し、当該年度は1年間を通して実際に運用し、学生の学習データを収集できた。講義内でも使用できるようにしたため、強制的にアクセスできるしくみができたこともあり、サイトへのアクセス状況は向上している。また、年度途中において、さらなる競争原理をはたらかせるために、新たなしくみを導入し、実装した。ただ、実装時期が年末になり、その有効性を検証するまでには至らなかった。以上のことから、新しい仕組みを除いては、年間データを収集できたことで、おおむね計画通りであったものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前年後半にあらたに取り入れたサイトのしくみの検証および、年間を通じて収集しているデータの解析ツールの実装などが主な計画である。現状では、サイトのアクセスログやエラーログなどは自動的に習得できているが、そこから個別の学生に対するデータを切り離すことができていない。アクセス時間や行動履歴を解析し、それらと実際の成績データとの相関を見ることで初めてサイトの有効性が確認できる。そのため、今年度においては、早期に解析ツールを実装することを目指すとともに、前年に導入した競争を促すしくみについても、検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に続き、コロナ禍ということで、研究旅費の支出がなかったことが主な原因である。次年度では、移動制限も緩和されることが期待されているため、適切に支出されるものと考えている。
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