研究課題/領域番号 |
20K03073
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣岡 秀明 北里大学, 一般教育部, 准教授 (60296522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 物理教育 / ゲーミフィケーション |
研究実績の概要 |
低下傾向にある学生の学習時間に歯止めをかけ、さらに忌避感の強い物理学という教科の学習時間を確保するために、マーケティングの分野で活用されているゲーミフィケーションを応用した学習教材を開発した。この学習教材は、自学自習のためだけでなく、講義内での様々な活用もできるように統合的な学習プラットフォームにし、学生にとってシームレスにアクセスできるように設計した。
このシステム(学習プラットフォーム)では、ゲーム性をもたせて、少ない時間でもいかに毎日課題に取り組み、問題を解いていくようにさせるかに焦点を当てている。その1つに「競争」というキーワードで表されるような、ランキングを公開することで動機づけを行っている。課題を正解することで得られるポイントを競わせ、それを通年においてランキングづけしている。しかし、出遅れたり、不得意分野がつづく時期があったりすると、差が開きすぎることによってやる気を失うという弊害もある。そこで、年間だけでなく月間でもランキングづけして、短い期間での競争を促すようなしくみにした。ただ、それでも長いダレてしまうことを防止する目的で、2022年度には「イベント」と称して週間ランキングで競い合うしくみを導入した。これにより長期、中期、短期での競争による動機づけをするシステムが完成した。
基本的なシステム設計を終えて、学生による学習データを蓄積しており、初年度から比べると年間を通じて得られた記録から学習時間の増加傾向があることがわかった。また、コロナ禍がひとつのきっかけとして、オンライン教材への抵抗感も減少したことで、動画による学習にも慣れてきているようすがわかった。これら一連のデータ解析結果を論文としてまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた学習プラットフォームの仕様は、ほぼ完成した。現状は、学生の学習データの収集を通して、このシステムによる学習効果を検討する段階に入りつつある。ただ、動機づけをする促す仕組みを多数導入した結果、想定外の行動をとる学生も散見されるようになったため、その対策をとりつつ、システムの改善を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度、想定外の行動をとる学生が一定数現れた。ゲーム性を付与するために、学習プラットフォーム(サイト)内では、通貨の役割を果たしている「コイン」を流通させており、ゲームを有利に進めるための「アイテム」を購入したり売却したりできるしくみを導入している。また、そのアイテムは「交換所」において学生同士が融通し合うしくみも導入している。本来、これらは課題に取り組み正解ポイントを稼いでいく過程で利用できるように設計したものだが、ゲーム性に着目し、コインの値上がり益を稼いだり、不当なレートでアイテムを交換するなど、不適切なやり取りが行わる事象が発生した。そのため、課題の正解ポイント獲得にゆがみが生じる要因となり、本来の目的から逸れてしまう可能性がでてきた。今年度はこの点を改善し、あまりにゲーム化しすぎないように設計を見直すなど、あくまで学習プラットフォームだという点を正していけるようにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加用旅費がオンライン開催のため未使用となっているが、次年度は現地開催となることから執行予定である。
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