創作アプリが言語活動にもたらす要因と読み書き支援への応用

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K03077
• 研究機関: 相模女子大学
• 研究代表者: 池下 花恵 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (50709847)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 幼児教育 / ICT機器 / デジタル絵本 / 読み書き障害 / 言語活動 / 読み聞かせ活動

研究実績の概要

幼児期における直感的な情報機器の活用は，子ども同士の遊びを通じて，早期リテラシーの習得を促進，学童期に発現する読み書き障害の困難さを軽減できる可能性がある．本研究では，情報機器を活用した子ども同士の遊びや読書に着目し，幼児教育施設の共同生活において，情報機器の活用が幼児の早期リテラシーの育成にどのような影響を与えるか明確化することが目的である．
初年度は，幼児教育施設における言語活動としての情報機器の活用方法について，海外の事例を含めて文献調査を行い，課題や問題点について整理した．また，情報機器を保育活動に導入している幼児教育施設を対象とし，現場の問題や課題点を調査した．具体的には，保育者を対象とし，保育現場における情報機器の活用および言語発達についてアンケート調査を実施した．アンケート調査では，主に言語発達，読み聞かせ活動，情報機器を用いた活動について設問項目を設定した．アンケート調査の結果から，保育現場における情報機器を用いた活動では，園児がタブレット端末などの使い方に関心を持つようになったこと，園児同士での教え合いが見られるようになったことなどが確認された．また，読み聞かせ活動に電子図書（デジタル絵本）を活用した取り組みでは，園児の集中力が向上したこと，絵本へ興味を持つようになったことなどが確認された．
このことから，幼児期における情報機器の活用は，小学校教育で求められる情報機器の使い方の基礎を身につける機会として，重要である可能性が示唆された．

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では，初年度は幼児教育施設において現場の課題などを調査するためフィールド調査を予定していたが中止となり取り組むことができなかった．次年度の継続課題として調査するためやや遅れている．

今後の研究の推進方策

初年度の継続課題である幼児教育施設におけるフィールド調査を実施し，その知見をもとに，幼児の言語活動に活用できるアプリケーション開発に取り組んで行く予定である．

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では，幼児教育施設へのフィールド調査を行う予定で経費を計上していたが，訪問予定先では新型コロナウイルスの感染拡大防止のため，研究者の受け入れを承諾してもらうことができなかったため，次年度使用額が生じた．
次年度の使用計画では，初年度実施できなかったフィールド調査を行う予定であり，次年度使用額をこの調査費用として充当する予定である．