研究課題/領域番号 |
20K03078
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
田中 哲雄 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (90727984)
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研究分担者 |
松本 一教 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (40350673)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 授業支援 / 穴埋め教材 / 学習行動ログ / ラーニングアナリティクス |
研究実績の概要 |
教員が学生の授業態度を把握し授業を改善することを目的として,穴埋め式ワークブックシステムを開発した。本システムを用いた授業では,穴埋め式の電子教材を学生に提供し,学生は穴埋めを行いながら授業を受ける。穴埋めにより授業中の学生はシステムとのインタラクションを強制されることになり,全ての学生の学習行動ログを収集することができる。本システムは,教員が教材を作成するオーサリングモード,教員が学生の授業態度を参照しながら教材を説明するプレゼンテーションモード,学生が穴埋めしながら教材を参照するブラウジングモード,および,教員と学生の振り返りを支援するアナリティクスモードからなる.本システムを100名程度が受講する実際の授業で継続的に使用し,(1)オーサリングモードで容易に穴埋め式の電子教材を作成できること,(2)プレゼンテーションモードで,教員がクラス全体の授業態度をリアルタイムに把握し,授業スピードを調整できること,(3)ブラウジングモードで,学生が容易に穴埋めができること,および,(4)アナリティクスモードで教員と学生による授業の振り返りを支援できることを確認した.また,学生へのアンケートから,本システムを利用することで,授業スピードが適切になり,より集中できることを確認した.さらに,本システムで得られたデータを分析することで授業を改善するための示唆を得られることを確認した.具体的には,教員による教材の説明時間と学生が参照するページの関係を分析し,1ページの説明時間を2分以内に収めることで先に進む学生を減らせること,および,2分以上の説明を行う場合は連続させず説明の短いスライドを間に挟むことで先に進む学生が増えることを抑えられることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,穴埋め式ワークブックシステムの堅牢性を高め,100名程度の複数の授業で継続的に使用した.また,教員がクラス全体の授業態度をリアルタイムに把握し,授業スピードを調整できることを確認した. また,計画を前倒しして100名程度の複数の授業で同時に使用する実験をおこない,問題なく動作することを確認した.システムを使用したログを分析し,教員ごとの授業方法の比較や,同じ教員による同じ授業の年度ごとの比較を行うと同時に,次年度以降の課題を明らかにした. プログラミング演習の支援については,表示言語を切り替えながらプログラミング的思考を身に着けることを支援するビジュアルプログラミング環境(Webアプリケーション)を開発・試用し,次年度以降の課題を明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
講義中心の授業については,穴埋め式ワークブックシステムのログをさらに詳細に分析し,授業の改善のためのデータの洗い出しとそれらを抽出する方式の検討を進める.また,プログラミング演習に関するラーニングアナリティクスについては,文法の理解とアルゴリズムの理解の双方を把握するには,ビジュアルプログラミング支援環境のみでは難しいため,テキストベースのプログラミング支援環境との併用を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会発表のための旅費を使用しなかったこと,データベースサーバとして既設のPCを使用したことなどにより,次年度使用額が生じた. 従来の課題と,新たに追加する「ビジュアルプログラミング支援環境とテキストベースのプログラミング支援環境の併用方式の検討」を遂行するために2021年度以降の助成金を使用する.
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