研究課題/領域番号 |
20K03081
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
住 政二郎 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60441341)
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研究分担者 |
光永 悠彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70742295)
出口 朋美 近畿大学, 法学部, 准教授 (90708538)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 項目応答理論 / テストシステム / 外国語教育 |
研究実績の概要 |
2020年度は、(1)現場の課題分析、(2)推定方法の検討、そして(3)教材・テスト開発を軸に研究活動を計画した。(1)に関しては、現場の課題分析を目的に必修英語科目担当者への半構造化面接を行い、基礎データの収集を行う予定であった。しかし、コロナ渦の影響により、既存の対面授業をベースとする授業形態からオンラインへと切り替わり、その対応と状況の変化により計画どおり実施することができなかった。この点に関しては次年度の課題として継続していく。(2)に関しては、大問形式のテスト問題を念頭に、新たな推定方法の検討を行った。大問形式のテストに項目反応理論を適応して標準スコアを算出しようとした場合、安定した推定ができないことが分かっている。また、一般的な英語の授業を念頭に置いた場合、大規模なデータを一度に収集することが難しく、標準スコアの算出が困難であった。この問題を解決するために、テストレットを推定するために開発されたモデルや潜在ランク理論の適用を検討した。しかし、今回は新たな手法として、イローレイティングの手法の適用を試みた。(3)に関しては、顔認証システムを組み込んだテストシステムの開発と実装を行った。コロナ渦の影響により、テストを教室内で行うことができなくなった。また、通常のオンラインの環境では、テストの公正さを担保することが困難であった。そこで、顔認証システムを組み込み、テスト中の不正行為を抑制する機能を組み込んだテストシステムの開発を行った。これは当初予定していなかった研究ではあったが、今後の状況の変化を加味し、本研究に不可価値を追加するものになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦の影響により、研究全体の進捗には遅れが生じている。特に、通常の授業が実施できず、本研究が想定していた定期テストが実施できない現在の状況は、研究全体に影響を与えている。対面で行う予定であったインタビュー調査や参与調査など、質的な調査の部分に関しては遅れが生じている。しかし、こうした中においても、当初は予定してはいなかったが顔認証システムを実装したテストシステムを開発し、実装することができたことの成果は大きい。現段階では、小規模なテストで実証実験を行った段階ではあるが、今後は定期テストへの応用も念頭にさらなる開発を継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ渦の影響を念頭に置きながら、可能な研究の優先順位を上げて取り組んで行く予定である。質的研究の分野に関しては、対面を念頭にしていたものからオンラインの活用に切り替えて可能な範囲でのデータ収集を行っていく予定である。推定方法に関しては、イローレイティングに限らず、レイティングとランキングの数理モデルの適用を検討する。開発案件に関しては、継続して行い、機能拡張を既存のテストシステムに加えていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦により、予定していた学会等への参加が不可能となり、旅費の支出がなかったためである。2021年度は、オンラインで開催される学会も増えてきたことから、積極的な参加を行う。具体的には、開発関連の作業に優先的に取り組み(支出予定額150,000円)、その成果を各種の学会発表と論文として公開していく(支出予定額100,000円)。並行して、独自の数理モデルの開発にも取り組み、その成果を論文として投稿していく予定である(支出予定額150,000円)。
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