本研究では,Society5.0社会を担う人材に必要不可欠となる分野横断型の教育システムおよび教育モデルの開発・検証を目的としている。要素技術が多岐にわたる電気自動車に着目し,教材開発,教育モデルの構築・検証,評価方法の検証を行った。 教材開発においては,従前より研究・開発を行っている分解組立型電気自動車を活用した。これまで実習中心の教材であったが,モータコントローラに関する教材,MATLAB/Simulinkによるモデルベースによる車両周辺環境センシングに関する教材を行った。 教育モデルの構築・検証においては,高等教育機関対象と高等学校対象で実施した。高等教育機関対象では,一関工業高等専門学校の実習(ものづくり実験実習E)に開発教材を取り入れ,活動や行動の振り返りを行うためのYWUDTシートを開発した。1年次全学生の実習であり,各自の専門分野に関わらず,ものづくりの基本となる考え方について座学と実習を組み合わせて実践した。高等学校対象では,他事業と連携の上でアクティブラーニングを重視したものづくり教育を実践した。 評価方法においては,アンケートの実施およびYWUDTシートの活用により,社会人基礎力の自己評価および実習グループ内の相互評価を行った。 分解組立型電気自動車を活用し,複合分野にまたがるシステム全体を俯瞰できる人材育成のための教育システムの開発を目指して実施した。生産技術に関する人材育成は,アンケート結果から有効性を十分に確認することができた。
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