研究課題/領域番号 |
20K03091
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
黒木 速人 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (00345159)
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研究分担者 |
西岡 知之 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (70310191)
向後 佑香 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (70642669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / アシスティブ・テクノロジー / スノースポーツ / 情報保障 |
研究実績の概要 |
本研究は,聴覚障害者がスキー講習受講時に周辺情報や指導情報を提示するための装置開発ならびに最適情報提示方法に関する研究である. 今年度は,聴覚障害者のスキー滑走時における周辺情報の取得方法の検討として,LiDAR測距画像センサを用いた評価を行った.実験ではLiDARセンサとして,Intel RealSense L515を選定した.選定理由は,センサの仕様が測距範囲が最大9m,Depth画像の解像度およびフレームレートが1280x720の画像を最大60fpsで測距できるため,滑走者の後方視界をカバーできる解像度,および,時速30km/hで接近する対象に対し約1sec前から報知することを想定したためである. LiDARセンサを用いた実験は,測距性能の評価と実地における動作試験である. 測距性能評価では,大学敷地内グラウンドで実施した.測定内容は,LiDARセンサに対し測距対象が接近した際,LiDARセンサから算出される距離に対し,レーザ測距センサ(Leica DISTO X310)で得られる測距値を比較した.結果,LiDARセンサから対象までの距離が2m-7mの測定においては距離対象が接近するどの速度域においても数百cmの誤差に収まり,2m以下では測距対象のどの接近速度域においても数cmの誤差に収まり,測距計と同等の性能を有することを確認した. 実地における動作試験では,実際のスキー場にて測距対象を実際のスキーヤーもしくはスノーボーダーを用いて測距の動作試験を行った.本実験における測定内容は測距性能評価と同等である.結果,降雪など視界不良による測距困難さ,および,LiDARセンサの仕様動作範囲内であったものの外気温0℃付近における動作不安定さなど,屋外環境における影響により期待した結果を得られなかった.使用するLiDARセンサを耐候性を備えた装置にするなど対策が必要となる結果となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,聴覚障害者のスキー滑走時における周辺情報の取得として,LiDAR測距画像センサを用いた評価を行った.昨年度実施した,本研究で使用するデバイスが未確定であるため,進捗に遅れが生じている.現状リリースされているスマートグラスの中から,本研究に沿った指導場面を想定したデバイスを選定し,来年度中に入手する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施した,本研究で使用するデバイスの選定結果にもとづき,本研究に沿った実際の指導場面を想定したデバイスを来年度中に入手する予定である.入手後,昨年度実施した最適情報提示に関する実験結果にもとづいた機器開発を進めていく.併せて,今年度実施したスキー滑走者の周辺情報取得方法に関して,使用するセンサの仕様の再検討を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,本研究で使用するデバイスの選定検討を行ったが,本研究が想定した仕様のデバイスが存在しないため,デバイスが入手できていない.そのために次年度使用額が生じた. 使用デバイスに関しては次年度に現状リリースされているスマートグラスの中から,本研究に沿った指導場面を想定したデバイスを選定し,機器開発を進めていく予定である.
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