研究課題/領域番号 |
20K03091
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
黒木 速人 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (00345159)
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研究分担者 |
西岡 知之 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (70310191)
向後 佑香 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (70642669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 聴覚障害者 / 情報保障 / 音声認識 / スキー講習 / スマートグラス / インクルージョン |
研究実績の概要 |
本研究は,聴覚障害者がスキー講習受講時に周辺情報や指導情報を提示するための装置開発ならびに最適情報提示方法に関する研究である.今年度は,研究の主題であるスキー講習時における指導情報提示に関して研究を進めた.具体的には,指導者からの音声情報を音声認識APIにて文字変換しスマートグラス(ARメガネ)に提示する装置を試作し,実際のスキー講習に適用させる実証実験を実施した. システムを構築したのち,システムの基本性能を把握するために,音声入力から字幕提示までの遅れ時間の測定,ワイヤレスマイク伝送距離の確認を行った.その結果,入力される文の形態素数に比例し入力から提示される時間は遅れ,概ね,5形態素あたり2秒の遅れとなることがわかった.また,伝送距離は190mであった. システム実証実験として,プロのスキー指導員と聴覚障害受講生と健聴受講生各1名にて実証実験をスキースクールの2時間のプライベートレッスンとして行った.その結果,携帯サービスエリアに起因するであろう通信不良があったものの,概ね良好の結果であった.聴覚障害受講生にとって,スキー技術の向上はもちろん,健聴スキー指導員とのリフト上でのコミュニケーションができたことが,何にも増してシステムの有効性を示したと言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,研究の主題であるスキー講習時における指導情報提示に関して研究を進めた.具体的には,指導者からの音声情報を提示するシステムを試作し,実際のスキー講習に適用させる実証実験を実施したため.実証実験の結果として,聴覚障害受講生にとって,スキー技術の向上はもちろん,健聴者とのコミュニケーションを可能にするシステムの有効性を示したため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,本研究の成果をまとめるとともに,次の研究プロジェクトに繋げるべく,成果の展開を図る. 今年度は,試作したシステムの実証実験において,聴覚障害受講生にとって,スキー技術の向上はもちろん,健聴者とのコミュニケーションを可能にするシステムの有効性を示したと言える. 本システムは簡便に構築できる小規模なシステムなため,他分野への適用も容易にできる.今後も適用範囲を拡げていけると考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始当初,研究に合致する仕様のデバイスがなかったため,機器選定と入手に遅れが生じたため.またコロナ禍における行動制限により,対面による実験実施が困難であったため.
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