研究課題/領域番号 |
20K03094
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 幹雄 広島大学, アクセシビリティセンター, 准教授 (70335636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アクセシビリティ / 合理的配慮 / デジタル化 / コモディティ化 / クラウド化 |
研究実績の概要 |
本研究では、多様な障害のある学生の受講上のアクセシビリティを支援するICT(AICT)を大学教育に実効的に導入するクラウド型アクセシビリティ支援システム(CASS)を開発するとともに、個別の大学の規模やリソースに大きく影響を受けない、「誰でも」「いつでも」「どこでも」可能な合理的配慮の自動化・コモディティ化(汎化)を図ることを目的とする。令和2年度は、基盤システムの整備を目標として、以下のことを行った。 1.令和2年度は、本研究申請時には予測しえなかったコロナ禍にあり、授業・支援のオンライン対応を余儀なくされた状況であったため、既存のシステムを活用し、運用面でのCASS開発を進めた。また、これを実際に導入し、CASS開発及び合理的配慮の自動化・コモディティ化の課題を整理するとともに、感染症対策・デジタル化等の社会的背景の影響を考慮して、教育のアクセシブルデザイン理論の検討を行った。 2.テキストマイニング等の手法を用いて、各フェイズにおけるアクセシビリティニーズ特性とAICTクラウドシステムの性能特性を明らかにするための、データ収集を行った。また、大学教育における合理的配慮の自動化を①一部自動化②部分的自動化③完全自動化の3段階で段階的に進める実証実験を行うため、モニタリングテストの準備を行った。 上記のことにより、CASS開発及び実証研究・理論研究の課題整理と準備を行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 令和2年度は基盤システムの整備を目標としており、実証研究に必要なシステム及びデータの課題整理、CASSの運用を前提とした合理的配慮のコモディティ化に関する理論研究を進めることが出来た。 コロナ禍の影響により、授業・支援のオンライン化が進んだため、既存システムを活用した運用面に特化したCASS開発を進めたため、独自のシステム開発は行っていないが、実際の支援にこれを運用することで、実践データの収集も行うことが出来た。 以上から、概ね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.令和3年度は、令和2年度の研究で明らかになった課題・定性的な傾向に基づき、独自のシステム開発の検討も含め、CASSの運用面及び機能面での改良を進めるとともに、モニタリングテストを開始、データ収集を図る。 2.令和4年度・5年度は、引き続きCASSの改良と実践運用を進めるとともにデータ収集を進め、データ解析および理論研究を進め、個別の大学のリソースによらないコモディティ化された合理的配慮の提案についてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、旅費を要する案件がオンラインに変更になったこと、謝金を予定していた作業を見合わせて、既存システムの運用で対応したことにより、次年度使用額が生じた。翌年度は、モニタリングテストを実施する予定であり、システム開発も含めて、オンラインでの研究推進に資するランニングコスト及びシステム導入費にこれを運用する予定である。
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