本研究では、大学の授業や支援にクラウド型アクセシビリティ支援システム(CASS:Cloud Accessibility Support System)を導入し、大学教育における合理的配慮の自動化を①一部自動化②部分的自動化③完全自動化の3段階で段階的に進める実証実験を行い、CASS導入による合理的配慮のコモディティ傾向を定性的に評価するとともに、CASS導入を前提として大学教育をセルフコンシステントに焼き直す大学教育のAD(Accessible Design)について理論的な整理を行った。具体的には、1)遠隔字幕支援システムの構築及び実証実験 2)支援プロセス(アセスメント・調整・手配)の自動化に関する現象論的解析(テキスト解析・相関分析・分類・定式化) 3)1)2)に関する自動化率・コモディティ化水準の評価 を行った。 本研究は、申請時には想定しえなかったコロナ禍の影響があり、リモート授業の普及があったため、当初予定より汎用性の高いシステムを基盤として実証実験を行うことが出来、自動化率・コモディティ化水準を想定より高い水準で実現することができるとともに、高い水準での自動化・コモディティ化の推進に関する新たな課題を整理することが出来た。さらに研究期間中に生成AIの普及があり、これも申請時には想定していなかった生成AIを活用したCASSの課題整理および設計を行うことが出来た。支援プロセスの自動化においては、主にアセスメントプロセス、マネジメントシステムの現象論的解析により、自動化・コモディティ化に資する基礎データの収集及び、クラウド型電子カルテや生成AIによる助言システムの設計に関する課題を明らかにするとともに、次世代型のCASS及び現象論的AD理論について整理することができた。
|