研究課題/領域番号 |
20K03102
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
柏木 将宏 千葉商科大学, 国際教養学部, 教授 (90320704)
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研究分担者 |
宮田 大輔 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (20339609)
細江 哲志 常葉大学, 経営学部, 准教授 (60526531)
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (70571884)
小林 直人 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (80434364)
鎌田 光宣 千葉商科大学, 人間社会学部, 教授 (90383372)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育工学 / 学習行動分析 / ラーニングアナリティクス / LMS / 情報基礎教育 / 情報科学 / 情報活用能力 |
研究実績の概要 |
2022年度は新型コロナウイルス感染症流行に関わる諸制約が緩和され、大学における教育環境は、従来までような平時に近い状況となった。一方、研究実施計画は修正が求められたが、昨年度までの実績を元に活動推進に努めた。本研究チームのメンバーによる研究会は、ビデオ会議システムを活用し5月の開催を皮切りに5回実施し、またオンライン上のコミュニケーション等も活発に行った。得られた研究成果としては、以下のようになる。 (1)本研究チームが継続的に実施し蓄積している情報基礎教育に関する履修者への悉皆調査を継続した。 (2)初等中等教育の新教育指導要領における情報教育に関する調査として、「情報I」の教科書の内容について調査し、レビューや討議を行った。また学習行動分析に関する調査、他大学の遠隔授業や教材コンテンツに関する調査、生成系AIの調査やその教育に与える影響に関する討議等を行った。 (3)本学秋学期の授業科目において、本研究用のLMS環境を用意し、学習者の活動記録を得るための実験を一昨年度より継続して実施した。コース学習教材の改良により、スムーズな遠隔オンデマンド学習が実施できた。また学習記録に関するログデータは、履修者500名以上の結果が得られている。 (4)学習行動のログデータを集計・分析して得られた学習行動の可視化について、本学LMSシステムのユーザー研修会で報告した。 本学における遠隔形式の授業は、いわゆるコロナ禍が収束したとしても引き続き実施されることとなった。すなわち、LMS利用によるコース学習を用いた遠隔形式授業あるいは学習行動分析におけるデータ取得といった、本研究活動が求める教育環境フィールドが、本学において今後も本継続的に設定できることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、遠隔授業に関する教員の教材作成や学生の受講環境などの整備が進み、学習行動分析のためのデータ収集や学習材の整備は進捗した。計画では、2022年度は最終年度としていたが、コロナ禍による計画変更もあり本研究活動のまとめを行うには至らなかった。 本研究のための環境として必要となるLMSについては、授業での実践を通じた機能チェックと見つかった不具合改修による改善を施した。この点も含め、当該LMS製品の他大学ユーザー向け研修会において、本研究内容に関する報告を行った。 本研究用LMSを積極的に活用した遠隔形式のオンデマンド授業を実施することで、学習活動の測定に関するデータ収集が継続的に行うことが出来た。またその教材も、学習効果向上のための改良を加えている。なお動画で提供される授業用コンテンツについては、AI活用による制作が試みられた。 これらから、研究計画に挙げていたLMSを高度に活用した学習の活動と評価を行う実装環境整備の進捗は進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
全般的な進捗としては当初計画から遅延している部分もあり、残存課題実践のためにも、研究期間を延長することとした。2023年度は、大学の授業実施がほぼ「平時」の状況に戻るため、計画においてここまで残されている内容に関する活動を実践し、本研究の最終年度としてのまとめに努めることとする。また、情報基礎教育のオリジナルテキストの制作が引き続き行われているが、本研究の成果は積極的に採り入れてゆく。 なお本研究の開始後に予期せず出現したこととしては、遠隔形式授業の一般化と生成系AIの登場がある。どちらも本研究計画に対して、引き続き今後も大きな影響をも与えるであろう重要なポイントである。遠隔形式授業に関しては、本研究計画の学習行動分析の実装進捗に効果的な影響をもたらした。一方、生成系AIに関しては、大学教育における学習材に与える影響なども想定されるが、その取り組みは緒についたところである。しかし本研究への影響寄与度としては無視できず、むしろ今後の大学における初年次の悉皆的な基礎教育のあり方も大きく変わってゆく可能性すら考えられるため、今後の研究の推進方策としても生成系AIに関する内容を加えておく必要があるだろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況から研究の期間を延長したため2023年度も引き続き本研究用に整備したLMSを活用し学習行動分析を実施する。繰り越した研究費は、その運用や改修、データ取得、集計などに関する支出とする予定である。
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