研究課題/領域番号 |
20K03110
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
金田 嘉清 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (50387669)
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研究分担者 |
櫻井 宏明 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (90387704)
小山 総市朗 藤田医科大学, 保健衛生学部, 講師 (90754705)
田辺 茂雄 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (50398632)
藤村 健太 藤田医科大学, 保健衛生学部, 助教 (50780623)
松田 文浩 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (30646998)
渡 哲郎 藤田医科大学, 医療科学部, 助手 (40805305)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 療法士養成 / 客観的臨床能力試験 |
研究実績の概要 |
本研究は、療法士養成の質の保証に向けて、若手療法士の臨床技能と臨床技能に影響を与える要因について明らかにすることを目的としている。一連の研究成果は、若手療法士の臨床技能向上に向けた効果的な教育手法の開発に貢献できると考える。効果的な療法士養成方法は、療法士と相対する対象者の直接的利益となることに加えて、日本全体のリハビリテーション医療の質的向上に欠かすことができない。また、基本となる教育手法が開発されることで、この分野のさらなる発展にもつながることも期待できる。従来から行われている療法士の卒後教育は、病院・施設または個人の自主性に委ねられていた。そのため、教育内容が標準化されていなかった。加えて、教育効果の判定指標も明らかにされていなかった。我々は、卒前と卒後の一貫した標準的な臨床技能教育が重要と考え、療法士学生を対象とした療法士版客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination; OSCE)を開発、実装を行っている。 本研究は、大学と連携教育施設の若手療法士を対象に、臨床技能に関する療法士版OSCEを複数回実施する。得られた結果は、経験年数別・臨床技能別に経時的な得点変化を比較・分析する。さらに、OSCEの態度項目や技能項目ごとの細分析も行う。そして、経験年数や初期臨床技能がその後の臨床技能修得に及ぼす影響を明らかにする。 令和3年度は、卒後教育施設の1年目から3年目までの療法士に対して、臨床技能を課題とした療法士版OSCEを実施し、臨床技能課題間の修得度の違いを検討した。取得結果について臨床技能課題別に分析し、その臨床技能課題毎の違いや傾向を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、若手療法士の臨床技能とその影響要因について明らかにすることである。まずは、経験年数4年未満の若手療法士を対象として、同一の臨床技能に関する療法士版OSCEを実施し、経験年数別に得点を集計して比較検討を行う。次に、同一対象者に複数の異なる臨床技能に関する療法士版OSCEを実施し、異なる臨床技能の課題間での比較を行う。あわせて、研究の複数年継続によって、同一若手療法士の経時的な臨床技能変化も明らかにする。その結果として、臨床経験年数が臨床技能に与える影響を検討する。 令和3年度は、卒後教育施設の1年目から3年目までの療法士に対して、異なる臨床技能を課題とした療法士版OSCEを実施し、臨床技能間の修得度の違いを検討した。その結果、1年目の療法士では関節可動域運動や筋力増強運動などに比し、起き上がりや起立・着座、移乗などの姿勢変化を伴う動作練習における臨床技能の修得度が低かった。一方で、2-3年目の療法士では全ての課題において1年目よりも修得度が高く、臨床技能間による修得度の違いも生じなかった。 今年度も、感染拡大予防対策を実施した上で、研究分担者や施設責任者との連携を密に行い、療法士版OSCEを実施した。遂行状況としては「おおむね順調に進展している」に該当すると考える。 令和4年度の研究実施予定は、同一の若手療法士に対してこれまでと同様の療法士版OSCEを実施する。そして、その得点の経時的な変化を分析する。この評価によって、若手療法士の臨床技能修得過程における変化の様式を明らかにする。加えて、得点の細分化や類型化も検討する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究の実施対象となっている卒後教育施設と連携し、異なる臨床技能を課題とした療法士版OSCEを実施し、データを取得することができた。現在、臨床技能課題別に、その詳細について検討、分析している。次年度も継続して療法士版OSCEを卒後教育施設とともに実施する。そして、同一の若手対象者における計測を実施し、OSCE得点の経時的な変化を分析する。また、これまでと同様に、得点の細分化や類型化も同時に実施する予定である。 今年度もコロナウィルス禍という社会情勢によって、OSCEの事前説明や実施に感染拡大予防対策が必要であった。次年度も、可能な限りICT(Information and Communication Technology)を利活用し、感染対策を講じながら研究を計画通り遂行していく予定である。コロナウィルス感染拡大の状況を注視しながら、本研究の実施教育施設数の増加を視野に入れている。 以上によって、令和4年度の研究費の使用用途として、研究実施施設増加を視野に入れた、オンライン会議や動画配信の機材や消耗品について追加購入を検討している。これらを活用し、本研究計画を当初計画通り推進していく。
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