研究課題/領域番号 |
20K03114
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松本 剛史 石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (40536140)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 回路デバッグ / 回路検証 |
研究実績の概要 |
高専で実施されている論理回路(ディジタル回路)実験の多くは、ブレッドボード上で回路を組み、それを測定することによって進められる。ディジタル回路の実験は、コンピュータアーキテクチャや組込みシステムといった計算機科学の基礎を理解するために重要なものであるが、アナログ回路等の他の回路実験に比べて、使用するIC数も多く配線が複雑になるために回路デバッグが難しく、学生自身で進めることが困難な場合がある。本研究では、このような状況を改善して自主的・効率的に実験を進めることができるようにするため、また、その結果としてより高度な回路の実験を行うため、学生実験において回路デバッグを支援する環境の開発を進めている。
2023年度の研究では、前年度にシングルボードコンピュータRaspberry pi上に実装した配線支援システムと回路デバッグ支援システムを、ブレッドボード上に論理ICを用いて小型のCPUを作成する学生実験で希望者に使用してもらい、性能の評価と要改善点の洗い出しを行った。配線支援システムでは、学生はボード上に配線を行う前に、システム上で配線図を作成し、その正しさを確認してからボード上の実際の配線を行う。配線システムを使用することにより、配線図作成段階での配線間違いをシステムで検出できることが確認できた。一方で、システム上で作成した配線図をボード上に配線する段階で配線位置を間違えるケースが若干あった。回路デバッグ支援システムでは、回路の入出力パターンから配線間違いを計算すると、多くのケースで、1ヶ所に絞り切ることができず、複数箇所の誤り候補が示されることとなった。次年度は、その精度向上に取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム全体の実装を完了し、実際の授業実験で評価できる段階まで進んでいるため。今後は、システムで計算される誤り位置の精度向上を主要課題として研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、実際に回路作成者にシステムを使ってもらい、評価を行うことができた。今後は、システムによって計算される配線誤りの位置の精度向上を目指して、機械学習に基づく手法などを採り入れることを検討し、システムの性能向上に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発している回路デバッグ支援システムの精度向上のための研究を実施するため、研究期間を1年間延長したことに伴い、シングルボードコンピュータや電子部品を追加で購入できるように、予算使用計画を調整したため。
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